【後半ネタバレあり】マトリックスファンがリザレクションズを見てきて感じた事

こんにちは。ぼっちバイカーです。

2021/12/7に公開された映画「マトリックス リザレクションズ」を公開初日に観てきました。

タイトルの通り”ありきたりな有名作品の続編“とは一線を画す内容で、面白すぎでした。

この記事では記事の前半はネタバレなしで少しだけマトリックス リザレクションズについて書きます。「過去三部作は復習したほうが良い?」「映画館で見るべき?」「(ネタバレなしで)面白い?見るべき?」なども前半に書いています。で、後半は書きたいことをネタバレありで書きます。ご注意を。

マトリックス リザレクションズとは?

映画「マトリックス リザレクションズ」は1999年-2003年に公開された「マトリックス三部作」の続編(つまり4部作目)です。

マトリックス リザレクションズ

「マトリックス レボリューションズ」から8年経過した2021年に四部作が公開されたわけですが、この間に何度もフェイクニュースやファンムービーで「マトリックスの続編」のうわさがありましたがついに来たか!といった感じ。

公式ページをみたり予告動画を見ても「これは4部作目なの?それとも一部の別世界のパラレルワールド?」って感じで謎。登場人物は年をとったネオとトリニティ、そしてなぜか若いモーフィアスや新しい主役?な女の子も出てくる。そしてオリジナルのモーフィアスやエージェントは動画には出てこない。

正直、映画が始まる直前まで「地雷も覚悟」していました。一度完結したお話の後編はうまくいく例のほうが少なく、「前作の焼き直し(オマージュさせすぎ)」「更なる敵が出てきて戦うパワーバランスのインフレ」「新しいキャストが邪魔でしかない」みたいな感じの作品が多いから。

予告動画を見ると地雷臭を感じたのは僕だけではなかったはず。とりあえず見てみないことには始まらない。

「自分の目で確かめろ」は映画「マトリックス」のキャッチコピーでしたが、まさにそれ。映画が始まる直前までこちらも緊張していました。

結果は・・・ネタバレパートでかく。

マトリックス リザレクションズの前に過去作を復習した方が良い?

・・・まだネタバレはないです。

過去作ですが結論から言うと「マトリックス三部作の全部を見た方が絶対に楽しめる!」です。というかマトリックス・トリロジーをしっかり履修しないでリザレクションズだけ見ても専門用語が出てきて頭がパンクします。確実に。

マトリックストリロジー
マトリックストリロジー

 

ネットのうわさで、映画公開の一週間前あたりに「リザレクションズは初代マトリックスの後の話だ」と言われていました。実際予告映像も初代マトリックス感(CGコテコテな対軍シーンがなかった)だったので信じていました。

・・・騙されましたねw

過去三部作の知識があると無いとでは理解度が大きく変わりますし、それがリザレクションズの楽しさに直結します。

詳しくはこの記事の後半ネタバレパートで書きますが、とにかく過去作を見ておきましょ!ネットフリックスで全部みれるよ!知ってると知らないでは楽しめるレベルが大きく変わるぞ!

あとは、もともとのマトリックスと僕については以下記事で書きました。

20年前と同じシアターで映画「マトリックス」を観たら記憶が一気に蘇ってきたので自分語りする

ということで僕は割とマトリックスのファンです。

あと余裕があるならネットフリックスオリジナル作品の「Sense8(センス8)」も観よう。今回のリザレクションズの制作メンバーの多くが(監督含め)センス8の制作メンバーです。話は全く別ですが映像表現や空気感など似ている部分が多く、”監督ラナ・ウォシャウスキーの意思”のようなものには共通しているように感じました。

センス8(Netflixオリジナル)

LBGT要素もあるので人を選ぶかもだけど面白いよ!

マトリックス リザレクションズは映画館で観るべき?

マトリックス リザレクションズですが、映画館で観ることをお勧めします。

ありきたりですが迫力が違うし、何より劇場の大きなスクリーン全体にあの緑のマトリックスコードが上から下に流れる瞬間はぞわってきます。これはぜひ体験してほしいです。特にIMAXのどでかい画面がすごいのでめちゃめちゃオススメ!

IMAXでみよう

僕はもちろんIMAX版で観てきましたが迫力と没入感が凄かった!IMAXはいいぞ!

(ネタバレなしで)マトリックス リザレクションズは面白かった?

マトリックスが好きな人であればあるだけ楽しめるはず!僕はかなり楽しめた!!

ネタバレなしで語るなら、マトリックス リザレクションズは”マトリックス”という作品やスタイルが好きであればあるだけ深く楽しめる作品でした。

ただ気になるところもあって、点数をつけるなら90点くらい。60点も覚悟していたので想像よりかなり上振れてうれしかった。理由もあとで書く。

逆に言うとマトリックスに対して理解が浅かったり、そもそも過去作がどんな話だったか覚えていない人はあまり楽しめないかも。人を選ぶ作品だと思う。マトリックスが好きじゃないひとは見ても多分楽しめないと思う。

・・・ということで過去作品を観てからリザレクションズ行くのをおススメ!!忙しい人はyoutubeで過去作をまとめている動画を見ておくだけでかなり違うはず。

・・・・

・・

ネタバレなしの記事はここまで。ここからは書きたい事書くよ!

マトリックス リザレクションズは最初の1時間がやばすぎた件

ここからはマトリックス リザレクションズのネタバレが沢山含まれます!ご注意を!!
改めて、、、マトリックス リザレクションズ観てきました!!
待ちに待っていた!!!地雷でも神映画でも受け入れる準備は2003年のレボリューションズを観終わっていたころにはできていましたよ。ええ。

リザレクションズの限定パンフレットかっちった

劇場パンフレット、最近はyoutubeでもかなり情報を収集できるし普段買わないんだけど今回は別。限定パンフレットもかっちった!
マトリックス リザレクションズの限定パンフレット(1800円)

映画「マトリックス」の頃は中学生でパンフレットはお金なくて買えなかったけど社会人の今なら好きなものに数千円程度なら衝動買いできてしまうのだ()

限定版パンフレットには今回の作品の骨子や背景がネタバレありでがっつり書かれていたり、過去のマトリックス作品のインタビュー記事や情報がまとまっているアーカイブ冊子って感じ。

注意点として、通常のパンフレットの内容とは別のようです。両方買おう。

このタイミングで改めてマトリックス三部作について細かく記事が書かれているのですごく貴重な気がします。金額で考えるとやや内容が少なな気もしますがお布施だと思ってるのでOK。気になる方はぜひ買おう(ダイレクトマーケティング)

・・・ということで、ここからは映画の感想をば!

リザレクションズの最初の1時間が凄すぎた!!

これを読んでいる皆さんはすでにリザレクションズを観た人だと思うのですが、とにかく最初の1時間が凄かった!!!!

冒頭の10分間がもう凄い

冒頭(ロゴが出るあたり含め)は完全にマトリックス(無印)と同じ。でも映像はめちゃくちゃきれいで、IMAXのどでかい縦長の画面でマトリックスのコードが上から流れていくのを見た瞬間に、中学生のころ父親と一緒に池袋の小さい映画館の後ろの方の席で観た初代マトリックスを思い出しました。「マトリックスが帰ってきたんだ。。。」とすでにエモい。

ファンであるほどこのシーンだけでもぐっと来るはず。

でで!始まるとまさかの初代マトリックスと全く同じ始まりに!!若いトリニティ(でもなんかガタイ良いし服もゴスっぽさが強調されていたような?)が電話して、エージェントが来て、巡査が「2ユニット送った。じきに降りてくるさ」というやり取りも同じ。(巡査、ずいぶんお年を召していたけどもしかして本人だったか?)

過去作品のシーンをリメイクする、という作品もありますがリザレクションズはもちろん違う。

今回の主役の一人である若い女の子のバッグスが登場したのを皮切りに、「なんか変」みたいな違和感がだんだん増えていきます。黒人のエージェント・スミス、舞台裏のようなカメラワーク、トリニティがどんくさく走っててエージェントにつかまってしまう、バッグスとオペレーターの会話が”トリロジーを観た観客”ですらわからない専門用語が矢継ぎ早に飛び交う。

この冒頭10分は経験があります。それは初めて映画「マトリックス」を観た時と同じ感覚。リザレクションズでは観客たちを再び「マトリックスワールド」に引き込んでしまいました。これだよこれ!ってなりました。

説明不足な世界観と現在進行形でバッグスに危機が訪れるわけですが、更にバッグスが黒人エージェント・スミスに捕まった!と思ったらまさかのエージェントがモーフィアスで…もう意味が分からない!!

この時点で「マトリックス リザレクションズ、とんでもない作品だわ」と期待値が毎秒上昇する状況でした。これを劇場で体験できただけで最高だった。

僕たちの「マトリックス」がマトリックスの中のメタフィクションに

まさか、、、まさか「マトリックストリロジーがゲーム化されているマトリックス」が出てくるなんて。。。これ予想できていた人は絶対いないだろ。この辺り本当に

マトリックストリロジー(ゲーム)が存在するマトリックス

観客はいきなり「マトリックスの続編映画を観ていたはずが、マトリックス続編映画を作るドロドロな悩みや葛藤を見せつけられる」状況に。

やばすぎだろ。

「ワーナーブラザーズがマトリックスの後編を作ることを決定した」「マトリックスの後編はリメイクやリブートじゃだめだ!」「宗教や理屈っぽい話なんていらない」「マトリックスとはうんちゃら」「マトリックスはこうあるべきだ!」「こんなの客は望んでいない!」

メタフィクションとは、作品のキャラクターは本来検知できない外側の世界(僕たちの住んでいる世界)でないと知り得ない会話のことを指します。ここでは、ネオ(トーマスアンダーソン)もちろん、監督ラナ・ウォシャウスキーの姿。企画を出しているメンバーや関係者は僕らのようなマトリックスファンや配給会社でお金のにおいに目を付けたキタナイオトナ達。

このやり取りを見るだけでいかに監督(ここではネオ)がやりたいことを通すことが難しいかがわかる。自分の作品を周りが勝手に作ったり定義・分析しているのです。これを見ただけでも吐き気がするほどでした。

これ、絶対先に「マトリックスの続編をつくれ!という周りからの期待、自分の作品を周りが勝手に定義・分析して改変させる気持ち悪さ、でもやらないといけないプレッシャー」を表現したくてそのためにこの世界を作ったんだと思います。

このシーンはギャグかな?ってくらい劇場内もどよめいてました。

でもこれこそが映画「マトリックス」だなとも思うのです。ブラックコメディ気味ですが、観客は初見でこれ見させられたら混乱します。そんな体験こそがマトリックスだと思うんです。

リザレクションズは0でも1でもない選択の連続

もともと映画「マトリックス」って様式美というか、とにかく二択からの選択を意識的にさせる作品でしたよね。これはマトリックス→機械→バイナリ(0と1からできているプログラム)と深く関係があります。

「人間と機械」「ネオとスミス」「トリニティかザイオンか」「救世主なのか違うのか」「現実か仮想(マトリックス)」などなど。機械の命令は最終的には0と1になりますし、0か1かが大事でした。劇中でも「大事なのは選択だ」というシーンがありましたね。

な の に  !

今回はことごとく「第三の選択」を選び続けたように思えます。

  • 現実でもマトリックスでもない世界「マトリックス内のマトリックスシミュレーター”モーダル”」
  • 人類・機械のどちらでもない存在のモーフィアス(デジタル・センティエント)
  • ネオが救世主かどうかはどうでもいい(トリニティが救世主に!)
  • 目覚めるか眠ったままかではなく”多くの人はマトリックスから解放されたくない”

これは完全に初代マトリックスとは違いますよね。これは監督がトランスジェンダーの流れをしたからなのかな。監督ラナ・ウォシャウスキーはもともと男性だったが女性に転向した経緯があり、LBGTにも強い関心があります。(この辺はセンス8見ればわかる)

「男か女か」以外の答えを知っている今だからこそできた選択だし、初代マトリックスの「人類vs機械」というテーマを乗り越えたんだなって。

後半の意図的とも思えるような”雑さ”よ

リザレクションズの前半では上記の通り”マトリックスの続編を作る会議“が行われており皆が勝手に話や構成、そして”マトリックスとはどうあるべきか”を決めています。

リザレクションズの後半パートはまさに「会議の内容が形になった」としか思えない内容でした。そして続編はつまらなかった、とまでは言いませんが最後まで盛り上がらず劇場を後にするときにはなんだか残念な気持ちとなっていました。

ということで皆さん、リザレクションズの後半パート、面白かったですか?主にネオがバッグス達に救出されてアイオ(新しいザイオン)で牢獄に入れられたあたりから。

リザレクションズでの新たな敵はマトリックスの中で記憶がないトーマスアンダーソンのカウンセラーである”アナリスト”。先代は”アーキテクト”でした。メインフレームが当たり前だった昔はシステムを設計する人が偉かったけど、今は分析者(アナリスト)が一番偉いってあたりが皮肉ですね。現代ではGAFAでお馴染みネット企業は、いかに大量のユーザーの動向を分析して反応させることが一番の命題とされ、日々PV、アクセス数、リアクションの数を競い合っています。

ここからのありがちで先がもう想像できてしまうのです。よくあるリメイク、リブートのテンプレって感じ。

ネオはトリニティを助け出したい!

敵はネオよりも素早く移動できるので倒せない!圧倒的強さ

マトリックス・トリロジーで出てきた仲間たちが駆けつける!同窓会だぜ!

遂にはスミスの気まぐれな助けもありアナリストの移動を制限!

アナリストの本気!スウォームモードで襲い掛かってくる敵から逃げる!

最後はビルから飛び降りてトリニティが覚醒!!

アナリストをぶん殴ってすっきりエンド!!

記憶を頼りなので違っていたらごめんなさい。こんな感じでしたよね?

一言でいうと「雑」でした。

ディテールでの違和感がどんどん出てくるんです。

  • 古いマトリックスでは有線電話で現実世界に戻れたけど新しいマトリックスではどうやって戻ってるのか説明がなかった
  • 有線じゃないならスウォームモードで追われているときに無線のポータルでさっと逃げてよ!どこに向かってるの?
  • サティの登場が都合よすぎて興ざめしない?トリニティの意識のバイパスとかすごいけどそんな簡単に入り込める?アナリスト油断しすぎでは?
  • スウォームモードの敵、戦闘ヘリが来た瞬間に消えてくのおかしくない?
  • スウォームモードで人間爆弾やってるけど電力だいぶ減るけど大丈夫なんか?→コメントで教えてもらいましたが、スウォームモードになっているのはボットであって人間ではないので電力不足の心配はない模様
  • アクションシーンではカメラが寄った構図が多く、動きが激しすぎて何が起きているのかわかりずらい
  • マトリックスならではな最新の尖ったアクションシーンはなかった
  • 最後のトリニティが覚醒するシーンもなんか地味
  • 爽快感が総じてない印象だった

だいぶ忘れていますがここでは書ききれないくらい劇中で違和感がありました。

あえて雑に作ったのではないか?

ここまで違和感があると「予算がなくなった」「意図的にこの内容にした」のどちらかですし当然後者だと思います。

結局、過去の有名な大作リメイクやリブートなどでやりつくされたテンプレから逃れられないのです。なぜなら観客がそれを望むから。それが売れるから。「前作のあと取り戻した日常、新しい敵や舞台(乗り物、武器、街)、新しい仲間、昔の仲間たちのピンチやサプライズ登場」などなど。ターミネーターやらスターウォーズやらスタートレック等々、最近はリブート多いですがいずれも似てるなって思ってしまいます。

観客や企画を考える人たちが「ファンの声」をもとに上記のような制限があると結局リメイクのテンプレからは逃れられない。原作者や監督が本当に作りたいものは作れないのです。

「アクションシーンがー」とか「リメイクはつまらないー」とか「同窓会シーンいらんやろー」とかは全部監督のわかってて、「でもファンや配給関係者がやれと言われたから作ったのが後編だよ!わかるよね?」と言っているような気がしてならないのです。

なので監督からのメッセージは「ほら、みんなが作ってほしいと言っていた新作だよ。」って感じなんじゃないかな。初代マトリックスのようなこだわりのカンフーや画期的なカメラアクション等を盛り込むことに、監督はそもそももう興味がないんじゃないのかなって。「まだみんなマトリックスに囚われているの?」と。

今作りたい作品はSence8のようなアクションパートよりも人間のドラマや葛藤、愛をテーマにした作品なんだと思います。

ネタバレアリのリザレクションズを見た感想

ネオとトリニティの話の続きが観れた。それだけで満足です。

レボリューションズでは人類を守るための礎となりました。時は経過し二人が過去のレジェンドとなっている世界で二人を崇拝する若者たちが命を顧みず二人を救出した結果、真の自由を手に入れた。随所に過去作の映像やファンがわかる仕込みがたくさんあり、ニヤッとしてしまう。マトリックスの続編を観たかったファンたちのために作られた映像でした。

話の展開も、ありきたりなリメイクではなく特に前半パートの「マトリックスの中のマトリックス(ゲーム)の続編を作るメタフィクション」は驚きました。B級映画とかではこういう実験的な作品ってあると思うのですが、誰もが期待する大作映画、しかも続編でこれをぶっこんでくるのは本当に感動。前半の「マトリックスの世界を把握している僕でもわからないこの世界はどうなってるんだ?」という”あの感覚”、これこそがマトリックスだと思う。

後半の”雑さ”は突っ込んだら負けだと思ってます。監督は全部わかってるけど「後編が見たいってことはこれを望んでいるんでしょ?(半笑)」という意図がある気がするからです。監督はそもそも後編でやりたいことをやるつもりはなかったんだ。って。

監督のラナ・ウォシャウスキーはリザレクションズを完成させてようやく”マトリックス後編の呪い”から解放されたのかな?

そう思わずにはいられないくらい、前半と後半とでディティールや圧倒的な差を感じ。最後のエンドロールを眺めていました。

長くなったけどこんな感じ。

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