日本で買うことができるフルサスeMTBの情報って案外まとまっておらず比較がしにくいなって思っていました。
2020年に入って大手MTBメーカーが続々と日本モデルを発表していますし、僕は日頃eMTBをチェックしているのでこの記事でフルサスeMTBの譲歩をまとめることにしました。
モーターのパワーやバッテリ容量、重さ、価格など比較表もありますのでチェックしてみてください。
- 1 国内で発売されているフルサスeMTBまとめ
- 2 国内のフルサスeMTB サマリー
- 3 さいごに
国内で発売されているフルサスeMTBまとめ
国内で発売されているeMTBをまとめます。記事に載せるかどうかのラインとして「フルサスペンション」「日本での価格が発表されているモデル」となっています。
【注意】フルサスのeMTBだけのまとめています
eMTBにはフルサスだけでなくハードテイルもありますが僕は「eMTBでオフロードを楽しむならフルサス一択」と思っているから。理由は二つ。「フルサスのデメリットである”重さ”がeMTBなら関係ないこと」「ハードテイルの軽さがeMTBだと活かせないこと」です。詳しくは以下記事で書いています。
eMTBに限らず自転車はフレームで乗り味が変わる乗り物ですので試乗することをオススメします。実際に乗ったり取り回すことで重さの印象が変わりますし、モーターのアシスト具合もメーカーごとに味付けが違って面白いです。
国内のフルサスeMTB サマリー
最終更新日時:2020/0730
eMTBをまとめています。新しい順です。スマホの人は横にゆっくりスライドすると見ることができます
バイク | モーター/バッテリ | 値段(税別) | 重さ(Mサイズ) | サス(フロント/リア) | ホイール |
YAMAHA YPJ-MT Pro |
YAMAHA PW-X2 80Nm/500Wh |
600,000円 | 24.1kg | 160/150 mm | 27.5″ |
SPECIALIZED TURBO LEVO SL |
Specialized SL 1.1 35Nm/320Wh(+160Wh拡張可能) |
1,320,000円(S-Works) 〜572,000円(Comp) |
17.35kg(S-Works L) 19.4kg(Comp L) |
150/150 mm | 29″ |
SCOTT GENIUS eRIDE JAPAN SPEC | Bosch Performance CX GEN4 JAPAN SPEC 75Nm/650Wh(+500Wh拡張可能?) |
580.000円 | 23.4 Kg | 150/150 mm | 29″ |
Giant TRANCE E+ PRO | Giant SyncDrive Pro 80Nm/500Wh |
580,000円 | 24.3kg(S) | 150/140 mm | 27.5″ |
Trek Rail 9.7 | Bosch Performance Line CX 75Nm/500Wh |
790,000円 | 21.83 kg | 160/150 mm | 29″ |
Fantic XF1 INTEGRA | Brose S-Mag 90Nm/630Wh |
880,000円(carbon RACE) 570,000円(160) |
21.57 kg(carbon) 24.94 kg(160) |
160/160 mm | F29″/R27.5″ |
Fantic XF1 150 TRAIL
|
Brose S-Mag 90Nm/630Wh |
490,000円 | 不明 | 150/150 mm | F29″/R27.5″ |
MERIDA eONE.SIXTY 9000 | Shimano STEPS E8080J 70Nm/504Wh |
850,000円 | 22.1kg(XS) | 160/1600 mm | F29″/R27.5″ |
MERIDA eONE-SIXTY 800 | Shimano STEPS E8080J 70Nm/504Wh |
580,000円 | 22.5kg(S) | 160/1600 mm | 27.5″ |
MIYATA RIDGE-RUNNER 8080 | SHIMANO DU-STEPS E8080 70Nm/504Wh |
419,000円 | 22.9kg | 140/140 mm | 27.5″ |
Panasonic XM-D2 | 内装2段変速 直流ブラシレスモーター 250W 不明/432Wh |
600,000円 | 26.2kg | 160/160 mm | 27.5″ |
BESV TRS2 AM | SHIMANO STEPS E8080 70Nm/504Wh |
445,000円 | 23.3kg | 150/150 mm | 27.5″ |
国内で乗れるフルサスeMTBまとめ
現時点での日本で乗れるフルサスeMTBを紹介。新しい順です。
YAMAH YPJ-MT Pro
2020年7月末にヤマハから発表されたeMTBが YPJ-MT Pro です。オートバイやジェットスキー、スノーモービルを手掛けるヤマハの PW-X2という新しいモーターを搭載したフルサスeMTBです。ジャンルはオールマウンテンで前後27.5インチホイール、重さは24.1kgです。
発表当時から自転車クラスタよりもオートバイクラスタの方が反応していたのでオートバイから乗り換えや増車として選ばれることになるのかもしれません。フレームやホイールサイズのおかげで足つきも良いのかもしれません。
YPJ-MT Proについて感じたことは以下記事にまとめているのでよければ読んでみてください。
SPECIALIZED TURBO LEVO SL
スペシャライズドから大手を振って日本向けに発表されたeMTBが TURBO LEVO SL (ターボ・リーヴォ・エスエル)。一言で言うと「eMTBは重い」と言う顧客(?)の声にスペシャライズドが全力で応えたモデルで、eMTBでは23kg〜とかが普通なのに驚異の17.3kg(S-Works Levo SLのLサイズフレームの場合)。もちろん世界一軽いeMTBです。
海外ではTurbo KenevoのようなハイパワーeMTBが評価が高かったこともあり、ネット上では「ついにきたか・・・(ガタッ)」というMTB乗りも多かった印象。
前後150mmなのでちょっとしたトレイルからダウンヒル遊びくらいが想定でしょうか。スペシャライズド専用設計の軽量なモーターは35Nmと言う低出力で、バッテリー容量も320Whと少ないです。しかし、モーター自体が省エネなおかげかバッテリ消費が低い為、走行距離はハイパワーモデルとほぼ同じなんだとか。2020年春に出るモデルとしては一番注目を浴びてるし「軽さ」を重視しているならこれしか選択肢がない状況です。一度でもこれ乗った後に他のeMTB乗ったら重さを感じてしまいそうですね。
なおS-Worksモデルは130万円超えですがカーボンCompなら68万円と別メーカーのハイエンドeMTBよりはお安いです。
このバイクが出た時には僕もかなりググっと来て色々調べたので以下記事もぜひ。
SCOTT GENIUS eRIDE JAPAN SPEC
SCOTTからついに日本向けeMTBの「GENIUS eRIDE JAPAN SPEC LIMITED」が出ました。発表されたのは2019年の秋頃でしたがデリバリーは2020春となっています。
ジャパンエディションと言うことでモーターはもちろんフレームも日本オリジナルなんだそう。カラーはグロスブラックですが写真は”もろフォトショ”って感じで実写はまだネット上でも出ていないですね。モーターはボッシュなので75Nmが最大トルクです。
スペック的には29インチホイールで前後150mmトラベルで4世代目(軽くてハイパワー)が使われており、フレームは名前の通り エンデューロモデルのGENIUS に似ていますね。変速はSRAM SX Eagle系。重さは23.4kgと重めです。登り用に前後サスのジオメトリを変えることができる「TWIN LOCK SYSTEM」もついています。
日本でもあるか不明ですが、海外モデル「SCOTT GENIUS eRIDE 900」シリーズでは レンジブースター と言う拡張バッテリで500Wh追加することで合計1125WHと言う頭おかしいバッテリ容量になります。
なお公式ページのサンプル画像はSCOTT GENIUS eRIDE 900 TUNED BIKE だったのでこれに近いのかも?
Giant TRANCE E+ PRO
「コスパのジャイアント」からもフルサスのeMTB TRANCE E+PRO が日本で発売されました。
フロント150mmリア140mmのeMTBでモーターはGiant SyncDrive Proと言うジャイアントオリジナル、かと思いきやベースはYAMAHAのPW-Xで味付けなどをいじっているようで最大トルクは80Nm。バッテリは500Whと普通でホールサイズは27.5です。カラーはジャイアントだとスペシャルなモデルのカラーによく使われるカメレオンペイントだったりとこだわりを感じます。
国内でとりあえず高トルクなフルサス欲しいよってなったらこれでしょうか。価格は58万円で変則関係はSHIMANO SLX系。重さが24kg超えと控えめに言って重いって感じはあります。
カラー的にはGiantの「REIGN(レイン)」に似ているなぁと感じます。
Trek Rail 9.7
「2019年 欲しい日本eMTBベスト1」は間違いなく Trek Rail 9.7 でした。
当時「eMTBは重いもの」「ハードテイルが当たり前」「バッテリは見えるもの」と言う前時代的な日本に”カーボンフレーム・160mmのサスペンション・ダウンチューブ内バッテリ・価格79万円” と言う”本気”なモデルが発表された衝撃は今でも覚えてます。
今となっては各社から似たような構成(と言うか海外ではこの仕様が当たり前になってる)が出てしまったのでRail 9.7のアドバンテージはだいぶ減ってきていますが、それでも29インチホイールは今時だし車重21.83 kgは軽い。
Fantic XF1 integra carbon RACE
2019年に「出るぞ・・・出るぞ・・・」と言われながらなかなか発売開始しなかったのが Fantic XF1 INTEGRAシリーズ です。Integraシリーズは前後160mmのサスストロークのシリーズ。
XF1 integraシリーズの特徴はなんと言ってもBrose S-Mag と言う化物モーターを積んでること。なんと最大トルクは90Nmでバッテリは630Whです。そしてこのモーターは海外の”2019 high-end eMTB“でもトップのようです。
面白いのが、ホイールサイズがフロント29インチ・リア27.5インチと言うハイブリッドタイプという点です。この組み合わせはオフロードバイク(モトクロスやエンデューロ)界隈では常識ですがMTBだと前例があまり多くはないようです。構成がよりオフ車に近づいているのかもしれませんね。今後の主流はハイブリッドになってくるのかもしれません。重さもカーボンモデルなら21kg台です。
注意点としてはこのモデルは公道走行ができません(型式認定が取れない)。その代わり10-24km/hまでのペダルパワーのアシスト制限や最高速度、そしてウォークアシスト機能が実装されています。
このせいなのか、いわゆる自転車メディアでは一切インプレ記事が出ていません(僕の知る限り)。
今後型式認定をとっていないeMTBが発売されるのかも不明なため「日本仕様にオミットされていないeMTBが欲しい」なら今のうちにFantic行っておいた方がいいかも?
Fantic XF1 150 TRAILなら49万円
カーボンモデルが88万円、アルミでも57万円ですが、 XF1 150 TRAIL なら150mmサスにはなりますが49万円でモーターやホイールサイズはIntegraと同じ。トレイル遊びならこれで十分楽しめます。
MERIDA eONE.SIXTY 9000
MTBでは有名なメリダのハイエンドeMTBが eONE.SIXTY 9000 です。
シマノの最新モーターShimano STEPS E8000シリーズの日本版であるSTEPS E8080Jと言うモーターを搭載しており、75Nm、504Whの構成です。特徴としては「メリダの高級なeMTB」です。税抜き85万円でカーボンフレーム。変速系はシマノのDeore XTと言うプロが使うシリーズの一歩手前なパーツですし、サスも”Factory”と書かれているのできっとレースでも使われているんでしょう(詳しくはわかってない)
シマノの優等生なeMTBって感じですが、ホイールサイズFanticと同じフロント29.リア27.5の構成です。やはりハイブリッドホイールが今後のeMTBの主流になるのかな??
カーボンフレームにしてはXSサイズで22.1kgと重めに感じます。これはシマノのモーターの差なのかしら。海外でも間違いないと評判のメリダのハイエンドeMTBが悪くないわけがありません。少なくともスペック上は値段に相応しいモデルだと思います。
30万円安いMERIDA eONE-SIXTY 800もあるぞ
下位互換と呼ぶのはマウントとってるみたいで嫌ですが、事実eONE.SIXTY 9000からダウングレードされたのがMERIDA eONE-SIXTY 800です。
兄弟分のeONE.SIXTY 9000から「フレーム外バッテリ」「27.5ホイール」「パーツのグレード」「アルミフレーム」といったダウングレードされて30万円引きされたフルサスeMTBが58万円。モーターは同じなので「とりあえず普通に乗れるフルサスeMTBがほしい」ならこれで十二分楽しめると思います。ただし今後eONE.SIXTY 9000オーナーからのマウントには耐えなければいけません。・・・冗談ですヨ?
MIYATA RIDGE-RUNNER 8080
eMTBのコスパ最高メーカーといえばミヤタだと勝手に思っています。そんなミヤタのMIYATA RIDGE-RUNNER 8080(リッジランナー8080) はフルサスeMTBで41万円台です!
しかもメリダのeONE.SIXTYと同じSHIMANO STEPS E8080のモーターですしバッテリも504Wh。ドロッパーシートポストも標準搭載。パーツは決して高級パーツではなかったり外装10段だったりサスペンションストロークが140/140 mmとややトレイル寄りですが、とにかく割り切り方が潔いので「安くて良いのでフルサスeMTBに乗りたい!」と言う人はこれ一択すね。重さも22.9kgと軽い方です。個人的にはeMTBエントリーモデルなら間違いなくこれかと思います。
Panasonic XM-D2
パナソニックの Panasonic XM-D2 は100台限定で発売されたフルサスペンションモデル。発表は2019年2月で60万円。
パナソニックはeMTBのバッテリを作っていたりするのですがこのバイクはモーターも独自開発で、内装2段変速 直流ブラシレスモーター 250Wと書かれています。内装二段変速と言う聴き慣れない言葉が出てきましたが、写真をみるとフロントシングルに見えます。どうやらモーターユニット内部で二段変速できるようになっているらしく、フロント2,リア10の合計20変速できるようです。面白い!
レビューなどをみると「ギアチェンジが早くなった」「より軽いギアが選べるようになった」と書かれていました。個人的にeMTBで「ギアが重い」と感じたことがないのでこれがメリットなのかは不明ですが、「ギア選択をもっと細かくしたい!」と言う人は試乗してみるのもありですね。
個人的には26kg超えと言う点が今時ではないかなぁと感じます。バッテリ容量も432Whとそこまで大容量ってわけでもないのでモーターが重いのかも。あとサスペンションがSRサンツアーと言う聞いたことがない(少なくとも僕は初めて知った)のとドロッパーシフトポストもついていなかったりとちょっと気になってしまいますね。
PVは結構印象的でちょっとエッチなお姉さんがかっこいいライディングするやつだったので探したのですがなぜか非公開になってます・・・100台限定が終わったから?何か問題があったのかしら()
本日情報解禁された、パナソニックの新型電動アシストMTB『XM-D2』のPVに出演させて頂きました✨
BMXライダーの私を起用して下さった @panasonic_bike と快く協力して頂いた @motocrossinternational には本当に感謝です‼︎
youtubeよりフルムービーぜひ見てください🎥https://t.co/PkZB4udlvb pic.twitter.com/gPZm4rzlfv— 飯端美樹 (Miki Iibata) (@stargirl_77) February 18, 2019
Besv TRS2 AM
Besvの読み方を知っていますか?ベスビーです。 BesvのTRS2 AMは僕が知る限り日本で初めて発売されたフルサスeMTBです。(違ったらごめん) なお親会社は液晶で有名なBenQです。
家電メーカーが作るeMTBですが、モーターはSHIMANO STEPS E8080でBesv独自の504Whバッテリ。コンポーネントはShimano Deore 10sにSLX油圧ディスクブレーキと決して最低限ではない。さらにバッテリもフレーム一体型で見た目が良い。それでいて価格は445,000円。ミヤタリッジランナー8080ほどではないにしろコスパが高いeMTBです。重さも23.3kgと若干重い)
とはいえミヤタよりもパーツのグレードが良かったり、サスストロークが前後150mmなのでBesvを選ぶ方も多いようです。(実際eMTB乗りでこれに乗っている人多い)
気になる方はぜひ乗り比べをしてみて欲しいです。
このバイクじゃないけどBesvの動画を。
さいごに
eMTBの種類は色々あるなぁーとなったのではないでしょうか?特に値段。お値段もモーターやバッテリ分価格が上がるのでオートバイの方が安いと言う不思議な状況になっています。
ただ高い分普通のMTBでは絶対に得られないメリットがあるのは確かですし、維持費はそこまでかからないのでMTBで下るのが好きな人ならフルサスeMTBは十分ありだとも思っています。
僕もフルサスeMTBは所有していないのですがeMTBを長期間所有している経験を元に「こんなeMTBが良いよ」って言う記事を書いているので参考にしてみてください。
あと、モーターの違いについてはこの記事もぜひ読んでみて欲しいです。
正直いつが買い時なんだろう?って考えるとなかなか買えませんよね。でもいつ買っても後から新しいモデルは出ます。なので自分が「これほしい!!」って感じたモデルがあったら直感を信じてまずはお店に行ってみるといろいろ幸せになれそうです。
こんな感じ。