【映画よりも面白い】百田尚樹の『永遠の0』を読んだ感想

百田尚樹の『永遠の0』を読んだ。映画も観ていたが、本はそれ以上に面白いと感じた。

永遠の0

『永遠の0』とは

百田尚樹の『永遠の0』は太平洋戦争の時代を生きた、架空の「絶対に生きて帰る」と豪語し行動していた青年、宮部久蔵が最終的に神風特攻隊で亡くなった話だ。

面白いのがこの話は宮部自身の目線で語られる描写が一切ないこと。そしてそれを60年後に孫が当時生き残った戦争経験者にインタビュー形式で話を聞いていくこと。

色々な人たちの目線で宮部の人となりが見えてくるのが謎解きのようで面白く、それでいて戦争の過酷さを説教くさくなく描かれているので気軽に読み進めることができる作品だった。

575ページと文庫本でも分厚いが面白さのあまりページを捲る手が止められなかった。

さすが有名な作品だけある。

永遠の0

「特攻なんて国に洗脳されていただけ」なんてとても言えない

雑誌編集者のベテランが「特攻なんて当時日本のプロパガンダで洗脳されていただけ」「イスラムの爆破テロと同じ」「ただ犬死しただけ」と主張していた。

この本を読む前の僕ならその通りかも。と思ってしまうくらいには違和感のない言葉。だけど、この本を読んでいくととてもじゃないけど思えない。

じゃあなんなのか?と聞かれたら正直答えられない。けど当時友人や知人が軍に半ば強制されて死を受け入れていた状況は現代でみんな有給を取得せずに言い出せない状況と似ている。上司に歯向かうことよりも、自分だけ楽になることが申し訳ない、そんな日本ならではな村文化があり、そして自分の命が少しでも大好きな家族や友人のためになるならと受け入れたことを貶すのは違うのかなとも思う。

正直戦争がどうとかは興味がないというかすぎたことだし自分が生きるので精一杯で細かいことを考える余裕がない。けど当時の若者は命を賭すという文字通りのことを行なっていたと思うとなんとも言えない気持ちになった。

映画よりもだいぶタブーというか思想が強い

とにかく海軍上層部の批判がすごい。ここぞという時に撤退したり死ぬとわかっていて無駄な作戦を立て続けたりと、組織体制の問題や指摘がたくさん書かれている。

実際どうだったのかなんて興味ないし、もしも話じゃ腹の足しになりはしない。

がとにかく現場で活躍する人たちを神のように持ち上げ、上層部は下劣な卑怯者であると徹底して書くなんて普通の人にはできない突き抜けたものがあると感じた。

この本を読んだ後にもう一度映画を観たがだいぶマイルドというか、組織への批判は一切カットされていて、そりゃそうだよなと。

別の作品でも感じたが、百田尚樹の本は敵味方どちらも多い作家だと改めて感じた。

『海の底』にも見習ってほしいミリタリー自慢の無さ

前回書いた以下記事で「ミリタリー知識自慢に感じた」と書いたが、この本はまさにお手本だった。

読者が知らないことをストレスなく、知識自慢にならない書き方でスッと頭に入ってくる。何が違うのかまでは気にしていないがもっともっと知りたくなるような書き方でページを捲る手が止まらなかった。

零戦が活躍する時代から死者が大量に出る作戦、そして神風特攻隊も去ることながら映画では取り扱われていなかった、桜花という特攻戦闘機の話。空の上からロケットエンジンを積んで敵に特攻することに特化した戦闘機。特攻タイプの最終兵器みたいな恐ろしい乗り物。相手の国からは BAKA Bomb と呼ばれていたというエピソードも印象深い。戦争に全く興味ない僕ですらこんなに覚えられるくらい教えるのが上手で、嫌味がない文章だった。

じいちゃんばあちゃんの話はもう話は聞けない

僕の祖父や祖母は戦争経験者。中学生の頃に一度だけ学校の調べ学習で話を聞いたことがあったが、今思えばもっとちゃんと聞けばよかった。そんな心に引っかかっていたことをこの本を読んで思い出すことができた。

中学生の当時でも結構衝撃的で、「校庭に二つの防空壕があり片方は爆撃されて全員死亡した」という話を聞いた時は自分が生きているのは奇跡のようだと感じたのは今でも覚えている。

この本では繰り返し「戦争中は誰もがこういう大変な苦労をしていた。平和になって皆何もなかったように過ごしているが戦争経験者は一人一人にストーリーがある」と書かれていた。もちろん祖父や祖母もあったはずだ。

残念ながらもう聴くことができない。これは本当に残念だし、もう少し早くこの作品に出会えればよかったな、と感じた。

まとめ

戦争の悲惨さを描いが作品ではなく、蔑むわけでもなく、とにかく読む人によって感じることは違う面白い本だと感じた。

フィクションだからこそ脚色や話がわかりやすくなっているので問題ないし、史実かどうかはさほど重要ではなく、大事なのは現代の人がどう感じるかなんだと思う。

この本を読んだからと言って人生は変わらないけど、今の自分が自由にブログを書いていられるのは間違いなく昔の日本人のおかげなんだなと意識するくらいはしても良いのではないだろうか。

映画が面白いと思った方はぜひ手に取ってみてはいかが?

永遠の0
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