【ガンダムSEED DESTINY並みに主人公が不遇】伊坂幸太郎の『ホワイトラビット』を読んだ感想

伊坂幸太郎の『ホワイトラビット』とは

伊坂幸太郎といえば『重力ピエロ』が有名かなと思いますが友人から勧められて今回は『ホワイトラビット』を読みました。

有名なのでこの本の概要やあらすじはこの記事では省略しますが、泥棒と警察官と、犯罪組織(今でいう闇バイト)の奇妙な犯行のお話。

とりあえず、伊坂幸太郎さんの他の作品を事前に読んでからこの本を読むことをお勧めしたいです。

恐ろしくも評価するとしたら、評価は10点中6点

特に期待もしていなかったが、読み終わっても特につまらないわけでもなく感情を揺さぶられなかった。

文章自体は非常に読みやすい

犯人と警察官と視点が変わりながら事件の真相を見ていくというスタイルなのですが、視点が変わる前と大きく話が変わるわけではないので視点が変わっても読みにくい印象はなかったです。

文章も読みやすく登場人物がみんなコミカルで親近感が湧くこともあり内容は分かりやすかったです。

・・・むしろ読みやすすぎてしんどかった。

読みやすいのに登場人物の行動が意味不明でストレス

この本はレビューを見るとわかるのですが「後半に全てが繋がって楽しめる本」なのです。逆にいえば、後半になるまではひたすら材料集めをさせられる構造ってこと。

なので真剣にこの事件の真相を追おうと思えば思うほど、登場人物の行動に対して「なんでここでこうなるの?!」が理解ができない。そこが解決しないまま話はどんどん進むので頭の中で納得できない感がどんどん溜まっていく。僕は疑問点はその場で解消して次に進みたい派なので、この本のように「登場人物の行動が意味不明でモヤモヤが残ったまま進行する」ことは割とストレスだった。

序盤・中盤の話が面白ければ気にならないと思うのですが、僕には全て種まき作業すぎて面白いと感じなかったです。

故意的な「最後まで読めば面白い」は嫌いです

後半にはネタバレというか真実がわかりそこから雪崩の如く納得感や希望そして最後のラスボスに向けた戦いに登場人物と読者が一体となって楽しめる構造です。

後半まで我慢すれば、上記で僕が書いたストレスたちがパッと消えるので気持ちが良いです!!!

・・のですが僕は執念深いのでわざとこの事実を隠したまま話を進行させた作者にヘイトが溜まりました。要するにこの本は「鍵がないと絶対に開けられない部屋」を用意して、鍵は後半にならないと手に入れられないことが確定しているってこと。

もちろん大なり小なりお話の展開はこういう作りになっていますが、序盤は意味不明な行動で読者を混乱させておいて最後にネタバラシしてなんかスッキリしたでしょう?はちょっと違うような気がしています。

もう一度書くけど、序盤中盤が面白ければ意味不明な行動は気にならなかったと思う。

ガンダムSEED DESTINYよろしく、主人公の座を黒澤に喰われた悲しき男の話

僕はこの作品が初めての伊坂幸太郎作品だったので知る由もないのですが、伊坂幸太郎の作品には「黒澤」というキャラクターがよく出るようです。

そしてこの本の後半はほぼ、それまで脇役だった泥棒の黒澤に話が集中します。具体的には作戦の立案から実行・フォローと要となる役は全てこの黒澤が引き受けてやっているのでした。

事実、僕がこの本で一番印象的だったシーンは黒澤が誘拐現場に夏之目課長と一緒にパトカーで向かうところ。読んでいるだけで情景が浮かぶようで、普段タバコを吸わない僕も一服したくなる空気感が最高で黒澤かっこいい!とならざるを得ませんでした。あとで『重力ピエロ』も読んだけどやっぱり黒澤がかっこよかった。

でも、この本の序盤中盤はずっと兎田くんが主人公だったんです!仕事で誘拐をしていた兎田くんは突然パートナーを誘拐される側に回った時の悲しみや怒り!はなかなかに惹かれる内容だったしどうやって克服するのかが楽しみだったのに、蓋を開けてみたら全部黒澤の頑張りで問題を解決してるやん。

黒澤は作者の作品ではよく出るらしいので思い入れがあると楽しいのかもしれませんが、何も知らない初見の僕には「突然ちょい役が主人公ばりにでしゃばってきて全部解決してった」という展開でぽかんでした。続編の映画やアニメを知らずにみていた時に近いかな。ガンダムSEED destinyを思い出した。シンーーーーー!

ぜひ『ホワイトラビット FREEDOM』を作品化して今度こそ兎田くんを主人公にしてやってくれ・・・

 映画化はされていないけどしない方が良い

ちょい役だった黒澤が無双する作品は絶対不評なので映画化するなら序盤を黒澤の話メインにして主人公も黒澤にしておくと良いです。

ホワイトラビットは映画かされるのか?

尺的にはかなり良いし映画としてはラストのどんでん返しはスカッとするので良いのではないでしょうか。

まとめ

伊坂幸太郎の『ホワイトラビット』を読みました。

話は短くサクッと読めるのでよいなと思いました。本も読みやすいので話を追うのは楽です。ただ僕のようにミステリを変に期待してしまう人やじっくり読み進めたい人にはあまりお勧めできません。あと伊坂幸太郎さんの作品を事前に読んでからこの本を読むことをお勧めしたいです。

多分五年後には話を忘れてしまいそうな印象に残りにくいと感じた作品でした。

こんな感じ。

 

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