【みんなお金に悩んでる】『三千円の使いかた』という本を読んだ

子供の夏休みの宿題の一つである読書感想文は今年は「偉人の伝記を読んで感想文を書け」という内容でした。図書館の伝記はほぼ全て貸出中で本屋さんだと結構良い値段する・・・ということで安い伝記を求めてBOOKOFF(ブックオフ)にやって来たのでした。

お会計時にレジ横に200円で売られており、ふと気になって一緒に会計した本が今回紹介する『三千円の使いかた』でした。

三千円の使いかた

『三千円の使いかた』ってどんな本?

三千円の使いかた』は2021/8/20に発売された小説で作者は原田 ひ香。

あらすじ

就職して理想の一人暮らしをはじめた美帆(貯金三十万)。結婚前は証券会社勤務だった姉・真帆(貯金六百万)。習い事に熱心で向上心の高い母・智子(貯金百万弱)。そして一千万円を貯めた祖母・琴子。御厨家の女性たちは人生の節目とピンチを乗り越えるため、お金をどう貯めて、どう使うのか?
知識が深まり、絶対「元」もとれちゃう「節約」家族小説!

当事、「読めばお金が貯まる!」と話題だったようでドラマ化も。

テレビドラマ「三千円の使いかた」

山崎紘菜さんだ!(「日本をゆっくり走ってみたよ」で知ったSR400乗りライダー役で知った。個人的にファンです)

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どんな本だった?

・この記事は本の内容やネタバレを含みますのでご注意ください
・僕は普段本を全く読まないので解釈違いや間違いがある可能性があります

タイトルを見た時に「3000円の使い方?自分はどういう使い方をするのだろう?ノウハウ系?200円だし読んでみるか」という感じで中身や作者は全く気にせずに購入。3年ほど前の本だけど有名そうだしマネーリテラシーを少しでも高められるかな?と期待もあったけど正直に言うと子供に本を買い与えることで自分も何か本を読んでみたかっただけ。なので全く期待せずにつまらなければ即捨ててしまおうと思っていました。

結果普通に面白くて最後まであっという間に読み進んでしまった。

この本を一言で紹介すると「独身女性・専業主婦・熟年夫婦の妻・年金暮らしのおばあちゃんのそれぞれの主にお金が中心となった悩みを共感しながらじわっとストーリーが動き、少しマネーリテラシが上がるかも?な本」でした。

お気づきの通り視点は全員女性。ただし年齢やロールが異なる女性たち(全員血縁関係者)で群像劇、とまではいかないですが章ごとに視点が変わり、それぞれの友人や恋人などと5人が交差したりするお話です。群像劇って視点がコロコロ変わるとイライラしたり、「早くさっきのキャラの続きがどうなったのか教えてくれ!」となるので少し苦手。実際この本も他の主人公の話をもっと読みたい!となることがありました。

内容としてはサクッと読めるのと難しい言葉もなく、ストーリー仕立てなので読みやすかった。

面白かった点

他人のリアルな悩みを知ることで知的欲求が満たされた

↑の通りお金の知識が上がるノウハウ系で売られていますが個人的には「年齢やロールが異なる現代女性の悩みをサクッと読むことができる」点が面白かったです。そして周りが思っている印象と本人が考えていることの乖離が結構あることで他人のプライバシーを覗いているようなやや下衆な知的欲求を刺激されました。

例えば、最初の主人公である独身の妹の視点での姉。妹からは「夫の収入は高くなく住まいは質素だが、金融職の経験から倹約しながら育児・料理や洗濯などの家事をしている専業主婦。学生時代に好きだった彼と結婚して家庭を切り盛りして幸せな人生を過ごしている」「でも質素な暮らしは私は嫌だなw」と認識している。しかし姉自身は「貯金は600万円」「毎日お金のやりくりで辛く将来が心配」「結婚したのは証券会社の仕事が辛く辞めたかったからという後ろ向きな理由」「海外旅行にいくというささやかな夢すら叶えられる気がしない現実が辛い」というような感じ。

そつなくこなしているように周りからは見えていても実は悩みがある。今回の登場人物全てが主にお金や将来のことで悩んでいますがそれぞれ状況が違うことで色々な世代の女性の大変さを知ることができます。別に女性だけってことはないと思うけど。

必死にクレカを新規作成して得たポイントを駆使したりするいわゆるポイ活生活とか、本当にこういう人いそうだなぁというリアルなシーンを覗き見ている感覚が面白かった

悩みをあらかじめ知ることができて視座が高くなった

僕はこの本を読んで主婦目線が一番自分に近いと感じましたが、母や祖母の悩みは僕が意識していなかった世界でした。自分の母親もこんなこと考えているのかな?と思うとやや憂鬱になるくらい。。。

旦那さんに対する不満だったり、お金の不安だったり、離婚話とか普段触れることのない話題だったのでなかなか新鮮で視野の広がりを感じましたね。

もちろんフィクションなのでしょうがいわゆる「あるある」系の話だと思うので何をとは言えないですが気をつけよう・・・と思わせる内容でした。

「コスパコスパってそんなに損したくないなら今すぐ死んでしまえ!」は刺さった

おばあちゃんが「結婚なんてコスパ悪いじゃないですか」と話す近所に住んでいる放浪無職男性に放った一撃。(少し意訳)

「結婚は家族ぐるみで色々変わるし子供なんて産んだ日には自分の自由の時間は奪われてコスパ最悪」「結婚しないでパートナーと同棲してお互い気が向いた時だけ相手に依存すれば良いじゃないの」「慰謝料のリスクもないし独身が一番勝ち組」という意見はよく見かけますし実際そういう生き方の方が幸せな人も多いと思います。

でも新しく何かチャレンジすることもせずに死ぬまでお金をなるべくかけない・失敗しない・リスクをとらない低コストで生きる人生って本当にコスパ高いのですかね?

現代は選択肢が多すぎて消費しきれないためタイパも大事ですが、薄くたくさんよりも一つに絞って深くという考え方も忘れてはいけないよなぁと。

面白くなかった点

面白くなかったことも書きます。

タイトルの3000円どこいった?過剰広告!

冒頭と最後に「人は三千円の使い方で人生が決まるよ」というおばあちゃんの名言が出てきました。が作中のストーリーではほぼ触れられておらず、関係も薄いためなんというか取ってつけた感じが否めませんでした。別に3000円の使い方を知りたいわけではなかったのですがちょっと騙された気分というか、「3000円の話はいつ出てくるんだ?」とずっと気になっていました。

ノウハウ面は正直どこかで聞いたことがあるようなものばかりだし学びは少なかったかも。家計簿つけるのが大事なのはわかるけどそれを心から納得して行動起こすほどの内容はなかったように感じます。

もっと「3000円でこういう使い方をしよう」という提案やアイディアのヒントが掴めるかと思ったらただの婆さんの説教だった。しかもよくわからない系の。なんとなくノウハウ本路線で出してみるために無理やり後からタイトルをつけたのでは?と思ってしまう。過剰広告では?

男性の描写が過剰でステレオタイプすぎるのでは?

例えば妹ちゃんがいわゆるダメ系彼氏を連れて来て結婚相談をしているシーン。お父さんに質問されたら「当事者同士で決めたらそれで良いのでは?」「お母さんの意見を聞きなさい」みたいな感じでガクッとなる場面がありました。

いや、流石に結婚については育児やってこなかったお父さんでも一言くらい言いたいことはあるでしょ!

これは例ですが、やや女性目線での男性の描写が気になりました。既視感としてはXの主婦の漫画。旦那がダメダメだと決めてかかったり悪意が滲み出ている描写に似ているなぁと。

「パートナーの愚痴」って圧倒的に主婦の方が多い気がする。世の中の男性ってそんなにダメなのか・・・。あと旦那の悪口って「そんな旦那を選んだ自分が無能です」と公言しているようなもので自分なら恥ずかしくて言えないと思うんだけど違うだろうか。

作中では上のお父さんは最後改心していたところも含めてなんか気持ち悪かった。これは完全に僕が女性ではないからだと思うけれども気になった。

まとめ

『三千円の使いかた』という本を読みました。

タイトルや宣伝とは異なる内容でしたが普段読まない色々な世代の女性の悩みを知ることができて面白かったです。ただノウハウとストーリーがやや中途半端なので薄い内容が嫌いな人は耐えられないかも。逆にサラッと読めるので僕は割と楽しく最後まで読むことができました。

最後に。僕が「3000円の使い方」を若い方向けに書くとしたら、「3000円なんてバイトでも3時間で稼げるんだから悩まずに欲しいのなら買ってしまえ」です。買って後悔してもその後悔は3000円の価値があるのだから。お金は使ううちに使い方を覚えるのではないかと思っています。

・・・でも最近物価上がって3000円じゃまともなもの買えなくなって来ましたね・・・。

こんな感じ。

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