こんにちは。ぼっちバイカーです。
2018年の春に発売されたIRCのVE-33s GEKKOTAですがいろいろな場所を走ってみたのでようやくインプレッションが書けるかな、と思ったので書いてみます。
あ、念のためですがIRC社からは何も頼まれていないし、関わり合いは0な自主的なインプレ記事です。ので無条件に褒めるつもりは全くないし好きに書きますよ!!
なお、ぼっちバイカーのブログでは常時インプレ記事のご依頼をお待ちしております(真顔)
IRCは好き
オンロードのころはタイヤなんてどうでもよかった僕ですが、オフロードバイクに乗るようになってIRCは個人的に好きなメーカーとなりました。
なんで好きかというと、「安くて使いやすいタイヤを販売しているから」です(正直)
タイヤにこだわりがある方ならいろいろあるのでしょうがオフロードやるならIRCは特徴がわかりやすいタイヤが多いと思います。
ここでは詳細は省きますが、FIM対応の「BR-99」はオンタイムエンデューロでは定番ですし、ツーリングライダーではある種の宗教化している「IRC TIRE TR-011 TOURIST」通称”ツーリスト”はツーリングで角がなくなってもグリップする。(ただしフロント、てめーはだめだ!)。あとはハードエンデューロタイヤ専用の「iX-09W GEKKOTA」という消しゴムみたいな元祖ハード系ご用達ガミータイヤ。色々あります。
VE-33
そして何より多分僕の人生で6本はリピしてるのが 「VE-33」です

IRC VE-33
昔からあるタイヤですが「迷ったらVE」という名言すらあるタイヤで、モトクロスコースもウッズもガレ場もそこそこ食う、というザ・スタンダードなタイヤ。クロスカントリーなら空気圧0.6、ハードエンデューロでは空気圧0.2で運用していましたが不満はありませんでした。
僕に財力と時間があればすべてのタイヤを履いて比較しますが、ショミンの僕には無理な話。なので「安くてそこそこいいタイヤを無難に履きたい」という要望がありました。そんな要望に応えるべく、VE-33は時期にもよりますが一時期Amazonでは6000円台で買うことができました。リアタイヤが大体1万円くらいするのが普通で6000円なんてフロントタイヤの価格です。
「PRICE is EVERYTHING. (by ボッチ・クラークソン)」
という名言もある(ない)ので、このタイヤを選ばない手はない。僕の中では定番中の定番なのであえてほかの高いタイヤを購入して冒険する必要はないと考えていました。
…ということでIRCは僕の中で好きなタイヤメーカーだったのです。
IRC VE-33s GEKKOTA(ゲコタ)ってどんなタイヤ?

IRC VE-33s GEKKOTA
もはやいろいろなところで語られているので今更商品の説明をするつもりはないですが、ざっくり特徴を書くと…
- 新世代のガミータイヤ
- 一般的なガミータイヤほど柔らかくないのでハイスピードもよじれずにいける
- ハードエンデューロでオールマイティに使える
- 推奨の空気圧は0.3-0.45
という感じ。
「iX-09W GEKKOTA」という柔らかくてめちゃめちゃ食うけど消しゴムのように削れているガミータイヤの性質と、「VE-33」のスタンダードさをミックスしたようなタイヤらしい。
「オールマイティなんだからいろいろ使ってみよう!」
ということでシチュエーションごとのインプレを紹介します。
オールマイティなのでお茶の水のラクーアのスターバックスでお茶もできる!
VE-33sをタイヤ交換してみた
タイヤインプレはタイヤ交換からやっていきましょう。
写真が残っていないのでざっくりとだけ書くと・・・
- ブロックを触った印象は「予想以上に硬い」
- サイドウォールも硬さ(剛性?)が結構ある
- とはいえ硬すぎないのでタイヤ取り付けはラクだった
- タイヤ取り外しはビードが固くちょっと難儀した
こんな感じ。
特にブロックの硬さは驚きました。それこそ触った感じはVE-33と同じくらい。これ本当にガミータイヤなの?って。意外と硬いタイヤですがタイヤ交換はやりやすかったですね。好印象。
VE-33sをハードエンデューロで使ってみた
バリ山新品の33sをメインステージであるハードエンデューロへ捧げました。
投入したのは春の日野ハードエンデューロのミディアムクラス。
コースはふかふか土、根っこ、丸太、ガレ沢、ヒルクライムとなんでもござれ。まさにVE-33sが生きてくるコース。この日は確か空気圧0.25で挑んだはず。コンディションはドライだったので0.3が正解だと脅されつつ、スタートしました。
僕はあまりアクセル開けられないトコトコ野郎。そんな僕でも恩恵はあるのか!?
ヒルクライムよく食う
実はこの日、キャブのセッティングをミスっていてとんでもなく濃い状況になっておりアクセルをあけてもあけても「ポポポポ」と全然エンジンが回らなくてモワーって感じでした。のでアクセス開けすぎずに高めのギアで走るしかなく結果常時低速でした。
コースの最初に2段ヒルというヒルクライムがあるのですが、VE無印との違いとして低速ヒルクライムでも「ぐいー」っと進んでくれる印象がありました。
あまりスピードが出せなかったのにも関わらずグイグイ登ってくれ、ストレートでクリアすることができました。その後もヒルクライムがうまくなったんじゃないか、と思うほどよく上ってくれるので楽しかったのを覚えています。
このタイヤ、ふかふかな土でもグリップするなって感じました。
根っこもVE-33より食う
VE無印だと根っこは勢いをつけてエイヤっとやらないとダメなのですが、この33sだとわずかに食うのです。なのでアクセルをグワーッとやりながら重心を前にもっていけば何とか根っこを乗り越えてくれる感じでした。なんていうんだろう、無印は根っこにはまった時に「あと少し登ってくれれば根っこを超えられる!」というところでダメなのですが33sはそこで頑張ってくれる感じ。
過去に履いた柔らかなIRCツーリストに比べるとさすがに劣りますが、VE無印よりは根っこに強いかなっていう印象でした。
ガレ場はあまり変わらない?
ガミータイヤといいうことで期待していたガレ場ですが、期待するほどは登ってくれませんでした。ツーリストみたいにぬたーっとは登ってくれなかったです。
とはいえVE無印と比べたらグリップしてくれますね。スタックは同じようにしますが、根っこと同じで最後に粘って登ってくれるような感じ。
あとは再発進の時も無印程苦戦しなった気がしますがここは僕の成長のせいかもしれませんね(キリッ)
ツーリストはヘタクソな僕でも適当にアクセル開ければグイグイ登ってくれる素敵タイヤだったので、33sはそこまでじゃない。ガミータイヤよりだけど固めのコンパウンドという位置づけなのでしゃあなしですね。
タイヤの消耗は少なかった
僕があまりアクセル開けられなかった事もあり、タイヤはほぼ新品ってくらい角が残っていました。
ちょっと昔で写真が残ってないのが残念ですが、印象としてはVE-33と同じくらい耐久性がありそうだと思いましたね。GEKKOTAなんて名前から一瞬で削れるかと思っていたのでうれしい誤算です。
今回はヌタヌタがなかったのが残念ですが、予想以上に硬いのでヌタヌタでも地面をしっかり刺してくれそうな印象でした。「ハード系で困ったら新品のVE-33s」でいいかなって感じ。VE無印よりは全体的に良い印象です。
ハードエンデューロでのインプレはこんな感じ。
正直に書くと期待したよりはトラクションは普通だし「こんなものか…確かにVE無印よりはいいけど値段で考えたら微妙だな…」と感じました。
クロスカントリーで使ってみた
クロスカントリーではどうかな?
2つのコースで合計5レース使ってみました。
1回目:WEX GAIA
ウッズや岩、沢、モトクロスコースがあるコースです。
2回目:WEX 爺が岳スキー場
スキー場のふかふか斜面、長いガレ上り下り、ウッズのコース。
僕は初級者なのでスピードは正直あまり出せない。そんな僕でも不安なく使うことはできるのか!?
ガレで効いた!
ハードエンデューロのガレた沢ではあんまりだった印象でしたが、GAIAのロックセクションでは驚異のグリップでした。
「え?これセクションなの?ただの通路じゃなくて?ww」
というほど。(なお調子に乗ったせいで進入角度を誤ってコース外まで吹っ飛んだのは内緒)
ロックでエンストしても重心を前に置きながらアクセルを優しく開ければ「グニー」っと進んでくれるのでロックセクションでのスタックはなにも怖くなかったです。隣で必死にアクセル開けても空転しているバイクを横目にぐにーっと進んでいるときばかりはIRCに感謝しました。ありがとうIRC!!
そして爺が岳スキー場でもガレ登りでエンストしても特にイゴることなくリスタートできるので感想は同じ。VE無印よりも明らかに岩に強い(確信)
クロスカントリーで必ずガレがあるかどうかはわかりませんがロックがあるなら33sはアリよりのアリですな。
僕レベルではスピードも気にならない
これは33sの謳い文句の一つである「ハイスピード系レースも行ける」は多分本当。
少なくとも僕レベルだと全く問題ない。より正確に書くと「33sよりも固いVE無印と比べても特に柔らかいと感じなかった」です。アクセルを開ければそれだけ進むし、ブレーキも同じ。
なのでロックやウッズが無いなら33sはモッタイナイ。VE無印でいいんじゃないかな?と感じました。
寿命、長い気がする…
GAIAはダブルエントリー、爺が岳はトリプルエントリーしたわけですが予想以上に「減りが少ない」と感じました。
印象としてはVE-33と同じか、それ以上。
4レース目くらいから角は丸くなってきますが、丸くなってもグリップが急激に落ちたようには感じないし山の高さはなかなか減らない。GEKKOTAという名前から柔らか目で減りやすいと思っていたので笑いが止まらなかったです。
このタイヤ、寿命長いかも!
・・・
ということで僕レベルのクロスカントリーなら特に恐怖心もなく走ることができました。
クロスカントリーはいろいろなセクションや路面を走ることが多い。「ロックセクションに備えて○○にするか、ウッズでスタックしないよう○○か、あるいはモトクロスセクションに合わせて○○か」とタイヤを選ぶのですが、こういうシーンでこそ33sは生きるかなと感じます。ただ岩とか根っこがあまりないゲレンデだとちょっともったいないかな。
400kmのリエゾン
多分これは僕以外誰もやらないと思うのですが、FIMじゃないタイヤで”リエゾン区間“を400km程走ってみ(た気がし)ました。
コーナーも怖くない(気がする)
僕レベルだとリアが滑る感じはなく普通に走れます。
林道ツーリングでも使えるんじゃないかなって感じ。よっぽどミシュランのAC10のほうが滑ると思います。あれが公道走行可能っていまだに信じられない。何かのバグでは?
ウェットでもブレーキもよく効くし、ブロックタイヤなのにコーナーも安心して走ることができ(た気がし)ました。
寿命ヤバイ
いい意味で寿命ヤバイですこのタイヤ。”長いリエゾン”走行をしたのにこんなに山が残っています。
うっそだろお前…(6レース走った後にリエゾン400km走行した後)
これ下手したらVE-33より多分耐久性がある気がする。
そしてこの状態でガレ場を走りましたが、大きめの一枚岩もぐにーっと上ってくれました。ブロックの山が低くなって角が丸まってきてもロックでここまでグリップする。これはコンパウンドの差なのかな?これ結構すごいのでは?
リエゾンじゃなくてダートならもっと寿命は伸びるはずだし練習用として結構使うことができそう。
Tublissとの相性は?
僕はリアタイヤをTubliss(タブリス/チューブリス)をインストールしています。
Tublissについてはまた後日書きたいのですが、一つの欠点(?)として「タイヤの相性が悪いと空気が徐々に漏れる」ということがあります。漏れるといっても数時間放置しても鈍感な人ならわからないレベル。僕も一日放置して翌日触ると「あ、空気抜けてる」となる程度。
でで、TublissでVE-33は何本か組んでますが例外なく長時間放置で空気が漏れてしまいました。
VE-33sはどうかな?
・・・やっぱり空気漏れた涙
少なくとも僕のやり方だと漏れてしまう模様。もしかしたら僕が悪いのかもですが、もし「VE-33で空気漏れるぞ」という人がいたら多分33sも同じだよってことで。
レース前に空気を入れればいい。偉い人にはそれがわからんのです。
総評
VE-33(無印)とVE-33s GEKKOTAの違いは確かにありました。まとめるとこんな感じです。
- ロックや根っこは無印より走破性高い
- ハイスピードでも初級者レベルなら問題なし!
- 寿命は比較的長く山の高さも予想より減りが少ない
- ある程度角が削れても岩もグリップする
- タイヤ交換はやりやすい(無印と同じくらい)
- 次世代の「迷ったらコレ」というタイヤは間違いなく33s
- ブロックが丸くなっても岩もグリップしたし、タイヤ交換をあまりやりたくないズボラでわがままボディな貴方にも向いています!!
VE-33のオールマイティな性能を全体的に高めた、いわば「VE-33改」って僕なら命名します。そのくらい「VE無印と比べて33sが劣る点が見当たらない」と声を大にして言いたいです。
・・・ただし一点だけを除けば。
値段は高い
全体的にいい感じですが一つだけ欠点。それが値段です。
「とりあえず迷ったし33s買うか」といいたいところですが「PRICE is EVERYTHING.」な僕としてはお値段でちょっと躊躇してしまいます。
VE33無印は6000円台だったのに対し、VE-33sは1.2万円。約”倍”です。(オンロードタイヤ警察は黙っててください)
VE-33二本とVE-33sだったら寿命は当然無印のほうが長いよなぁ!?
そう考えるとあえて33sを買うシチュエーションは「ハードエンデューロに出る」「金に糸目はつけないからオールマイティでいいタイヤを頼む」「どんなタイヤ履けばいいかわからないからおすすめ教えて?」という人に向いている感じになってしまいます。
「金でトラクションを買える」という名言がハードエンデューロにはあるのでそれに従えば33sは間違いなく買いかと思います。ただ33s以上にガミー性能に特化したタイヤはあるので、「ハードよりだけどスピードも必要」というある種海外のエンデューロのような要件だと生きてくるのかもしれません。
とにかく金額以外は不満がないので、「(お金ヤバイけど新品タイヤが欲しい!)迷ったらVE(無印)」か「(資金に余裕があって)迷ったらVE-33s」の二択でいいんじゃないかしら。
今調べたら無印も高くなってる…
一時期は6000円台だったVE無印ですが、ここにきて急激な価格変動が起きたようです
VE無印が8000円超え…だと!?
33sは安くなってる!!(出たばかりの時に買ったので12800円だった)
2018/8/7現在だと価格差は約3000円。個人的には33sを声を大にしてお勧めしたい。リエゾンをあれだけ走ってもまだまだ使えるくらいタイヤの寿命はいいし、性能は上位互換だと思います。33sいいぞ!
しかしなんで無印がこんなに値上がりしたんだろう…33sを売るため?もうVE無印は販売終了に向かっているのか!?それとも今までの6000円が頭おかしかっただけ?私気になります!!
まとめ
IRCのVE-33s GEKKOTAのインプレ記事を書きました。
33sはGEKKOTAという名前から「消しゴムだけどオールコンディションで鬼トラクション」というピーキーなタイヤだと思っていました。
しかし、実際に使ってみると「VE無印よりもセクションに強くてハイスピードも(リエゾンも)行けるオールマイティで寿命も長いので長く使える」という万能タイヤでした。特に寿命の部分は期待以上で、ブロックの角が丸くてもまだまだ食う印象でした。寿命についてはタイヤ交換が嫌いでなるべくそのまま履きつぶしたい派の僕としてはうれしい誤算。
ブロックタイヤはいろいろありますが間違いなく新しい21世紀のハードよりのエンデューロオールラウンドタイヤだと思います。
ということでまさに「次世代の迷ったらVE」という名に恥じないタイヤじゃないかな。
お値段は無印と比べてやや高めですが、今後無印が安くなるのか不明ですし今の価格差なら33sのほうがトータルで幸せになれるかも。
僕は新品のVE無印が1本あるので33sを買い足すか迷うところですが、ハード系レースに出るならやっぱり33sだよなぁ・・・
こんな感じ。