こんにちは。ぼっちバイカーです。
「僕はオフロード初心者ですよ」と聞いた時。あなたはその人がどのようなスキルレベルだと思いますか?
今回のは前からずっと書きたいと思っていたネタ。頭の中でようやくすっきりした気がしたので記事にします。
最初に断っておきますが「初心者・中級者・上級者」というカテゴライズが自己申請方式である以上、人の数だけ定義があると思います。今回の記事はあくまでオフロードバイクに乗って2年経った僕が思っている定義ですので異論も反論も認めます。
僕はオフロード初心者です
2年間オフロードバイクに乗ってきて林道遊び・コース遊び・オフロードイベント参加・レース参戦と色々な形でオフロードバイクを楽しんできました。
僕が今自分のレベルを他人に伝えるならば
「僕はオフロード初心者です」
と名乗ります。
理由は後ほど…
僕が最初のころに考えていた「初心者」とは
僕がオフロードバイクに乗り始めて林道を走るようになった頃に思っていた初心者とはこんな人でした。
- 未舗装路を走ったことが無い
- オフロードバイクを買って間もない
- 複数人の林道ツーリングで皆のペースについていけない
- 林道やコース等の知識が無い
逆に言うと、脱初心者に必要なのはこんな事でした。
- 有名な林道やコースの最低限の知識がある
- オフロードバイクを買って半年くらい
- 林道ツーリングでついていける
- 一人で林道を走れる(トラブル対応)
- 皆が走れる道を走れる
ようするに「ある程度慣れてきたら脱初心者」と思っていたのです。
そもそも初心者って何?
そもそもですが、初心者ってなんでしょうか。
大辞林 第三版の解説によると、
しょしんしゃ【初心者】
習いはじめの人。未熟な者。しょしんもの【初心者】
世なれない人。うぶな人。
との事。なお、対義語は「熟練者」。
場数を踏んで熟達したさま
とのことです。
この言葉通りなら、僕が考えていた「慣れてきたら脱初心者」は間違っていなかった。というか、多くの方がそう思っているのではないでしょうか。
「自分よりうまい人が初心者」問題
僕が今でも初心者だと思っている理由は簡単です。
「僕よりも圧倒的に上手な人たちが自分を”初心者”と呼んでいるから」です。
そう。オフロードバイク界隈では自分の知り合いやグループ内の人と比較した相対的な格付けとして初心者という言葉が使われているのです。
極端な話をすれば、「自分の知り合いの中で一番早かったりうまかったりしたら自分は中級・上級者」ってことです。
井の中の蛙大海を知らず
という名言があるとおり、例えば3人のグループでしか走ったことがなくインターネットを使ったことが無い人がいたら、その中で一番うまくなれば「自分はうまい。中級者・上級者」と名乗れますし聞いていて違和感が無いと思います。
僕が脱初心者したと思った瞬間
一度「自分は脱初心者したな」と思った時期があったのは、林道遊び等をしていたころ。単純にみんなワイワイ遊んでいて皆が走る場所を自分も走れるようになったので「自分は脱初心者だ=中級者だ」と思っていました。
でもKTM 250EXCに乗り換えてコースへ行ったり走る場所や人が変わったり、そしてレース勢の知り合いが爆発的に増えた。
コースやレース遊びしてると出会いが多いです
…そして、僕の知るオフロードの世界が広がってしまったのです。
世界が広がって身の程を知った
世界が広がると上手い人や同じくらいのレベルの人が沢山いて、自分がいかにヘタクソだったかがわかりました。
そして、自分よりもかなりうまい人たちが声をそろえて「自分は初心者だから」と言っているのです。
それを見て、
「あぁ…自分は初心者の中の初心者だったんだなぁ」
とわかってしまったのです。
…そんな経緯で今は「自分は初心者」と名乗っているし、過去に「自分はもう脱初心者かな」とかブログで書いた時期があって恥ずかしい。って思っています。
これがオフロードでよくある事象。名づけて 自分よりうまい人が初心者問題 です(今名付けた)
「自分は初心者です」は詐欺じゃない
明らかに自分よりうまくて色々知っている人でも「自分はマダマダ初心者です」と言っている人がいても詐欺だ!と思ってはいけません。
世の中にはその人以上にうまい人が沢山いて、その人なりに自分のポジションは初心者だと思っている。ということなだけなのだと思います。
うまい人でも初心者と名乗る理由
僕は本当に下手ですが、例えばレースで表彰台に立っている人でも自分は初心者という人はいます。
それらはなぜか理由を考えてみました。
- 謙虚だから
- たまたま実力以上の力で勝てたから
- 恨みを買ったり敵を作りたくない
- 社交辞令(謙遜)
- 自分よりうまい人が初心者と名乗っているから
こんな感じでしょうか。確かに1位でゴールしたとしても2位の人と数秒差だったら「俺は速い!」なんてよほどの自信家で無ければ言えない気がします。
中田「初心者です」
例えばサッカーで中田選手が
中田「僕なんてまだまだ全然下手くそで初心者です」
と言ったらどうなります?
日本中の殆どの選手が「俺は中級・上級です」と名乗れなくなりますよね?
これは流石にあれですが、そういうことです。
じゃあスキルレベルは何を以て測ればいいのさ
「初心者です」は信用できない。
じゃあ、オフロードの本当の初心者(オフ車に慣れていない人)は何を以て相手のスキルレベルを測ればいいのでしょうか。
これは正直難しいです。
レースリザルトが該当する?
リザルトは絶対です。
レース活動をしている人で「IA(国際ライセンスA級)で表彰台に入った」とか言われたら日本国内で相当うまい、ってなります。
極論すぎてあれですが、例えば「僕は国際B級ライセンス持ってます」と言ってても持ってるだけでリザルトはあんまり、という人も中に入るかもしれませんしね。
なのでレースのリザルトを見てみるといいと思います。
とはいえ林道やコースなどをファンライドしている人についてはスキルを図ることはできないです。あとそもそも未経験者はコースを走ってる人とつながることはなかなか難しいですね。
・・・僕的にはレースに参加してる時点で初心者ではない気もしますが、レースで上位の人が初心者だと言ってるので難しいですね。
年数?走行回数?コース名?
「10年オフロードバイク乗ってる」
「100回は林道ツーリングした」
「ゲキムズイゴイゴ林道(仮名です)を一度もスタックしないでクリアした」
とかそういうことでも測れそうです。
林道はフラットなものからハードなものまで色々あるのでどこを走ってるかは非常に大事なポイントになってきます。ただいずれも初心者との境目は曖昧ですね。
結論:「オフ車乗りの初心者」は意味が無い
これは暴論ですが、うまい人でも初心者と名乗っている以上、初心者という言葉に意味は無い。と思った方が良いです。
オフローダーの「初心者です」は、「人間です」や「オフロードバイクを所有していますがプロではありません」と同じくらいだと聞き流しておきましょう。
オフロードで鍛えるスキルは多岐にわたる
例えばオンロードバイクのツーリングでも「ライテク」「道を知ってる」「ペース配分」「観光地」「マスツーの走り方」など色々なスキルが必要です。
で、オフはさらに幅が広いのです。
そもそも話になってしまいますが、ぱっと思いつくだけでもオフロード遊びで必要なスキルの方向性はこんなにあります。
- 林道やコースのレベル等の知識
- フラットダートの走り方
- ガレ場・ドロドロ・斜面・ヒルクライム・ワダチ・根っこ等の走り方
- モトクロスの知識と走り方
- トライアルの知識と走り方
- 高速走行するスキル
- 障害物を超えるスキル
- フロントアップやアクセルターン等の小技
- ビッグオフで走る技術
などなど。
オフロードバイクで「フロントアップやウィリーはめちゃくちゃコントロールがうまいけどモトクロスは走ったことが無い」という人もいるでしょうし、「フラットダートをビッグオフで爆走できるけどアタックはしない人」もいるでしょう。「モトクロスは子供のころからやってるけどそもそも二輪免許持っていないので公道走れない人」もいるでしょう。勿論「全部うまい」というソシャゲ重課金勢みたいな人も中にはいるかも知れません。
こういうの見ると余計に初心者とか格付けすること自体が難しいと思います。
未経験者はまず林道?
…未経験者はどんな人にどんな場所へ連れて行って欲しいですか?一緒に走ったりしたいですか?
多くの方が「面倒見の良い人とフラットな林道をまったり走りたい」と答えるのではないでしょうか。
…僕はそうでした。
というかオフロード=林道だと思っていました。モトクロスやトライアル、エンデューロのコースやレースはガチ勢の世界で自分とは関係が無いって。
オンロードツーリングの延長線上にオフロード走行がある場合これが一般的な考えだと思うのです。
なお、林道ツーリング初心者が仲間を見つけるための方法をまとめた記事を以下に描いてます。参考にしてみてください。
未経験者向けに、林道について僕がわかった事を書いておこうと思います。
林道は玉石混交
林道と一口で書いても色々な場所があります。
ドロドロもあればフラットな場所もある。崖があるところもあればガードレールがあるところもある。立入禁止のところもあればツーリングマップルに載っている林道もある。
玉石混交だと若干誤用かもですが、ハードな場所からソフトな所までいろいろあるって事。
「楽しい林道」というのが百戦錬磨のゲロゲロ大好きマンのいう楽しい場所と、フラットダートや最高の景色と愛車の写真を撮影するのが好きな人の言う楽しい場所では絶対に違う場所に連れて行かれます。レベルも長さも危険度も何もかもが違うのです。
これらは全て林道と呼ばれてるのです。ミスマッチが起きないほうがおかしいくらい。
「アタック」という名の不幸なミスマッチ
上記の通り色々な道があるので、「爽やかでオンロードでは見たことが無い場所」を走ってみたいだけの人が「未開の地を求めて走りたい」とか「アタックしたい」とか言ってしまうとかなりの確率でミスマッチが起きます。
想像していた未開の地
連れて行かれた道
これはイメージ画像ですが、未経験者やフラット林道メインの方の思う「アタック」と経験者やハードエンデューロ勢の思う「アタック」には運電の差があるとこの2年間で感じました。
ただの移動通路?
僕はトレールからレーサーへ乗り換えたことでバイクの走破性があがりました。そのおかげで走れる場所が増えました。
そして気づいたのが、初心者トレール(ビッグオフ)時代に「アタック」とか「ゲロマディ」だと思っていた場所は”ただの移動通路”でしかなかったのです。
これはただの移動通路です
本当(かどうかはわかりませんが)のアタックは斜度がすごくて立っていられなくて、ゲロマディだとつるつるで立っていられないし、ヤチと呼ばれるヌタヌタで足を突っ込んだら抜くのが大変なドロドロの事を言うのです。たぶんもっと僕の知らない場所があるのでしょうが、今時点でもこんな感じ。
これは僕が初心者時代に走っていたからということもあるので「トレールで走っている場所は大したことない。レーサーで走っている場所の方が大変だ」なんて語る気はないです。
僕が言いたいのは「アタックしたい」というと経験しないと想像出来なくて信じられないような場所をバイクで走ることになる可能性があるということ。「え、ここ走るの?」という驚きの連続です。
フラット林道は共通認識でOK
アタックは人によって解釈がかなり違いますが、フラット林道はおおよそ大丈夫だと思います。少なくとも僕はそうでした。
フラット林道と謳われたツーリングに行ったのにアタックになった場合にはそれは残念ながらフラット林道詐欺の可能性があります。聞いた話だと、初心者をアタックに誘い込む悪い奴らがいるらしいです。ご注意を。
こういう本に書かれている道はまず大丈夫です。
ダマサレタ!
…過去に僕がお誘いしたツーリングで「騙された」と話す人がいましたが、僕はアタックの時はちゃんとそう伝えてますヨ?あと人間はうれしさのあまり「こんなの聞いてない!騙された!」と鳴くことがあるので、歓びの声として受け取っています(暗黒微笑)
勿論冗談が通じる間柄の人にはこんな感じですが、そこまで親しくない人だとちゃんと説明するようにしないといけませんね。
未経験者こそコースの方がオススメ
ここまで林道のお話をしてきましたが、未経験者こそコースの方がお勧めです。
簡単にコースと林道の違いを説明すると、
コースは有料ですが整備されてるし人が沢山集まっているので何かあっても助けてもらえる可能性が高い。あとトランポまで近いので怪我しても帰れる可能性も高い。
林道は無料で身近ですが道によっては整備されてないし、崖や対向車(たまにトラックとか重機も)もくる。一日に誰も通らないこともあるので事故後身動きが取れなくなると命を落としてしまう可能性も。
さらに、僕が安全だと思うのが、
「殆どのコースには初心者向けのコースがある」
ということです。一番の初心者向けコースは土の広場。ここでもダートの基本を練習できますし、ちょっとした初心者コースもあるので自分のレベルに合わせて走ることができます。
コースは比較的安全ですしコース走行量なんて数千円なので個人的には初めて走るならコースはアリかなぁとも思っています。まぁ一人だと敷居は高いのは承知していますし、好きかどうかもわからないのにお金払ってコース行くのは辛いですよね。
そんなあなたには、河川敷。とはいえ河川敷はグレーなのでネットに公開されていることはまずないです。ので衛星写真を見ながらコースらしきものを探し、凸することになります。でも河川敷は文明から近いので万が一怪我した時も比較的生還率は高いと思います。
イケルイケルダイジョブダイジョブについて
最後に触れておかないといけないですね。
オフロードバイクに乗っていると
「イケルイケル。ダイジョウブダジョブ」
という言葉が良く出てきます。ちなみにこの言葉の最後には「(シランケド)」という言葉がこっそり付きます。
これはオフローダー達の鉄板ネタで、「とりあえずやってみよう」っていうニュアンスをおどろおどろしく演出している(だと僕は信じている)もの。なので、ある程度相手と仲が良かったり相手の技量をわかった上で使う事が多いです。
「転ぶかもしれないし怪我するかもしれないけど行けなくはない、万が一いけなくてもフォローしてあげるよ」という意味で使われる気がします。
でもそれ以外にも
「(べスコンなら)イケルイケル」
「(地面べスコンだしタイヤ問題ないし)イケルイケル」
「(俺が行けたんだからお前も)イケルイケル」
「(君のことは全く知らないけど)イケルイケル」
「(これはダメかなぁ…)イケルイケル」
「(俺は無理だけど)イケルイケル」
「(お腹が空いて早く帰りたいから)イケルイケル」
「(モタードで林道?僕は走ったことないけどまぁ)イケルイケル」
と無駄に汎用性が高い言葉なので前後の文脈から真意をくみ取る必要があります。要は「作者の気持ちを答えよ」的な難問。文系の人ならなんてことないですね。
なお冗談で使われることも多いので冗談か本気かも判断できなくてはいけません。そのあたり判断できなそうな相手には使ってはいけないよなぁと思っています。
結局行ってみないとわからない
結論を書くと「経験したことがなかったらわからないし行ってみないとわからない」です(え)
どんなに文字や写真、動画を使って記事を書いても、道の事を伝えるのは限界があります。なので実際にやってみるのが一番なのです。
なので遅かれ少なかれ、探究心がある方はアタックで絶望したり転んだりすることになると思うのです。
「オフ車はコケて何ぼ」というのはここからきているのですね。
絶対に転びたくないなら
ビッグオフや愛着のあるバイクで絶対に転びたくないけど林道に行ってみたい人もいるかもしれません。
絶対に転びたくないなら、フラットな林道のみをいつでも止まれる速さで走っていればまず大丈夫だと思います。そこから徐々に直線だけスピードを出してみたりすると良いのかなと。
ただアタックのような場所は「覚えゲー」だと僕は思っているので、トライアンドエラーが必要。アタックするなら、天性のバランス感覚や生まれ持った足長でないと転びます。
なので「これ以上はアタックだな」と思ったら引き返す勇気を持つことも非常に大事。
僕は自制心が効かないので、みんなが行くなら自分のスキルは関係なくいってしまうタイプです(そして後悔する)
他人がイケルイケルと言っても転んでバイクが壊れたら自分持ちです。自分の技量とお財布と相談したうえで安全第一で楽しみたいですね。
まとめ
オフロードバイクと2年間遊びで向き合ってて感じていた、「オフロード初心者なんて言葉はない」ということが言いたくて書いたエントリでした。
「初心者、アタック、フラット、イケル」等はあくまで定性的で個人の感想です。このあたりはやってみないと見えない世界の為すごく難しいです。
結局どうすれば良いのでしょうか。
自分の価値観と近い人を見つけて一緒に走るか、自分とは価値観が違う人に合わせて自分を変えるかのどちらか。前者の方がストレスは負荷が少なく、後者は負荷が高い分上達したり見たことが無いものが沢山見えるかもしれません。このあたり割と人によって違うので「同じ価値観のオフ仲間を見つける」というのが一番難しいなぁと常々思っています。
なんであれ趣味なので自分がやりたいと思ったことをやるのが一番。そしてやったことが無い分野も気になるならまずはやってみるといいかもしれません。面白くてハマったり一生やらない!となるかもしれませんw
オフロードバイクのように色々な遊びが出来る趣味はなかなか無いですね!
この記事を読んで一人でもオフロード初心者詐欺から救えたり、逆にオフロードに興味をもってくれたらいいなって思いつつ…
こんな感じ。