こんにちは。ぼっちバイカーです。
初心者がキャブレターについて勉強し、人づてに最適と思われるセッティングを教えてもらいました。そして必要なパーツを入手するところまで進みました。
今回は実際にKTM 250EXCのキャブレターを取り外し、ジェットやニードルの変更や調整を行っていきます。
手順や内容は出来る限り調べマニュアルを参照しながら細心の注意をもって書いています。があくまで初心者の記事ですので真似する場合には自分でも調べるなりしてオウンリスクでお願いします。
キャブセッティングを間違えると最悪エンジンが焼き付いたりするらしいです(震え)
キャブレターの作業をやるために準備した事
作業にあたり以下の物を用意しました。
- KTMリペアマニュアル(3206318 RA 125-300 SX-EXC 2011-2018)
- 交換予定のジェットやニードル(JD Jetting Kit JDK027 2017 250EXC Mikuni TMX )
- 工具
6,7,8,17mm ソケットレンチ
T45 トルクスレンチ
プラスドライバー
ラジオペンチ
トルクレンチ(2 Nm~のやつ)
Norbar TTI 50トルクレンチ 1/2インチドライブ 10-50Nm 13659 1/4in Drive 1-20Nm 13285
ラッシングベルト
E-Value ラチェット式ベルト荷締機 ショートタイプ ERT-25SSR 2pcs
こんな感じです。
リペアマニュアルを買った!
買わなきゃと思いつつ忘れていたリペアマニュアルを購入しました。
これでエンジンOHもできます(できない)
なお、言語は多言語対応されていますが当然日本語はありません。
キャブレター、そのままイジるか外してイジるか?
キャブレターのジェット類の交換をする場合、二つの選択肢があります。
- キャブレターをぐるっと回してジェット類をなんとか交換する
- キャブレターをバイクから取り外してじっくり交換
Twitterでお世話になっている同じ250EXC乗りの方に教えてもらった方法は1でした。そして、JD Jetting Kitのマニュアルも1が書かれていました。しかし、KTMのリペアマニュアルだと2番でした。(正確には「キャブレターの外し方」という項だった)
手間から考えたら1なのでしょうが、正直どんなに事前情報を仕入れたりマニュアルを読んでもキャブレターの仕組みというかどこに何があるのかが理解できなかったのです。
僕。完全に「やってみなきゃわからない、経験から学ぶ愚者」です。
そんな僕には1はかなり難しい。キャブをぐるっと回して細いすき間から得体も知れないキャブを相手にボルトを外したり小さいジェットを交換するのはかなり怖い。やっぱりなるべく触ったりして見てみたい。
という事で今回はキャブを外して家の中でじっくり作業する事にしたのでした。
セッティングはコレ
前回の記事でも書きましたがセッティングはこれ。冬です。
IDLE | NEEDLE JET | NEEDLE | CLIP | MAIN | |
---|---|---|---|---|---|
夏 | 30 | S-1 | JD青 | 2.5 | 420 |
冬 | 32.5 | S-1 | JD青 | 3.0 | 430 |
※Air Screw ~1.5
交換するのは4つだけ!
上記セッティングを見て「うげー」っとなりましたが冷静に表を見てみると交換するのは4つのパーツだけです。
1つ目がメインジェット!
MJ。マイケルジャクソンじゃなくてメインジェットです。
メインというからには大きいのかと思いきやなんてことないナットみたいで小さいです。
「これがwメインwww」って最初思ってしまいました。
これを変えると中回転から高回転あたりの特性が変わります。まさに「メイン」で使う領域ですね。
2つ目はニードルジェット!
名前の通り、ニードル用のジェットです。本来は数字で番号が付いていますが今回取り付けるのは”S-1″というKTM専用ニードルジェットを注文しました。
これは低回転から高回転まで全般的に影響をおよぼす模様。とっても大事!!
3つ目はジェットニードル!
??
あれ?さっき出てきたよね?と思うでしょう?
それは”ニードルジェット”。今回はジェットニードル。ジェットのニードルです。ニードルが主語。(正直この部分でなんどもくじけた)
JD Jetting kitに含まれる青いニードルを使います。
ちなみに針の太い部分にワッシャーのようなものがついていますがこれが”クリップ”です。このクリップも位置が違うと濃さが変わります。太い方に上げると薄くなり、細い方に下げると濃くなるそうです。
これも低回転から高回転まで全般的に影響をおよぼす模様。とっても大事!
4つ目最後はアイドリングジェット
IDLELING JET(アイドリングジェット)です。
名前の通りアイドリングあたりを司っているようです。調べるとパイロットジェットとも呼ばれるみたい。アイドリングの方が個人的にはわかりやすい。
・・・
今回はこの4つを交換してあげるだけ。アイドリングスクリューというものもありますがこれはキャブレターを外さなくても出来るので最後に調整するだけでOKです。
作業開始!
作業を開始するぞ~
概要としては、「タンクを外す」→「マフラーを外す」→「フェンダーを外す」→「リアのサブフレームを90度回転」→「キャブを抜く」→「スロットルスライドについているスロットルケーブルを抜く」→「キャブを外す」→「ジェット類を交換」→逆の手順で戻す。
です。作業内容は多いですが、例えばタンクはボルト一本外せばOK。マフラーもボルト二本外せばOK。って感じで250EXCは整備性がかなり良いですので慣れればキャブを外すのに10分で出来る感じです。
事前準備
燃料コックをオフにしてエンジン始動。残ってるガソリンを全て燃やします。
・・・そして掃除です。
もしマシンがドロドロだと、キャブを外した瞬間に砂埃がエンジンに入る。。。よろしくないです。普段から綺麗にしている方は問題ないですが、僕はこんな感じでした…。
全てはCGCのせい。
CGCを絶対に許さない
泥を流そう
まずは泥を落としながら、キャブの周りを集中してなるべく綺麗にして上げましょう。
どうせタンクは作業で外すので・・・
この後、できる限り頑張って綺麗にしました。ドロドロだとどうしようもないので高圧洗車機が欲しいよう。
いよいよキャブを外す
ようやくキャブを外す手順です。
まずは外装やマフラーを外し、サブフレームを上に持ち上げます。
ボルト2つを外してサイレンサーを引っこ抜きます。
次に、キャブレターがくっついているエアクリボックス側とエンジン側の連結部分のバンドを緩めます。6mmソケットで緩められます。
そしたらサブフレームを止めているボルト2本を外し、2本を緩め、フレームを上へ押します。
なんか作業してるっぽくてかっこいい!そして念のためラッシングベルトで固定しておきます
サブフレームにエアクリボックスも付いているので自然にキャブレターと繋がっていたエアクリボックスが外れます。
泥が予想以上に残っていたのでリードバルブの中方へ行かないよう注意しました…もっと掃除しておけばよかった…
キャブとつながっている黒いケーブルはスロットルケーブルです。スロットルの開度に応じてニードルが離れて混合量を多くするスロットルスライドというパーツにくっついているのです。
7mmソケットを使ってボルトを外すと…
スロットルケーブルがスライドにくっついており、バネが入ってます。
リードバルブ側の穴。キャブを外した際に土が入ってしまったので慎重に掃除します
キャブの中に入ってるガソリンを全て抜きます。抜き終わったら室内に撤収です。
キャブを分解する
ここからがメイン作業です。
fffffffffffff
ででん!
部屋に帰ったら、まずは作業スペースに厚手のマイクロファイバーを敷きます。
吸水性がいいので洗車後拭き取ったりするのにいいし、マイクロファイバーなので汚れも落としやすい。しかも厚さは十分で洗えば使い回せる。なのに大量に入ってて安いのでおススメだぞ。
Amazonベーシック マイクロファイバー クリーニングクロス 24枚入
- 出版社/メーカー: AmazonBasics
- 発売日: 2013/09/11
- メディア: Automotive
- この商品を含むブログを見る
まずはキャブを綺麗に・・・
泥が付いているので綺麗にしましょう。作業の準備です。
キャブのホースのガソリンは抜いたけど、念のためこんな感じでウエスを巻いてゴムバンドで止めときました
キャブレターを分解!
分解と言ってもそんなにやることはないです。
ちなみに僕のブログよりもこの動画で全てOKです。
メインジェットが見えます。
やっちまったとらんど
・・・実はここの穴から全てのジェット類を交換することができたのですが、KTMのマニュアルだとドレンボルトの穴の部分ごと外すようにと書かれていました。部品をを外すのはプラスネジ三本です。
ふんふーんってやった結果…
Mikuni「…グリッ…」
プラスのネジの頭を舐めてしまいました涙
なんでこんな大事な場所にプラスネジをつけてるの?バカなの?悔い改めて!!
古いバイクとかだったらわかるけど新品でもこんなに簡単に舐めるものなのですね。舐めてしまったネジはどうしようもない。たまたまネジの周りは広いスペースがあるので、バイスプライヤーでネジの頭ごと掴み、グリッと緩めることができました。
ネジ自体はホムセンでも買えるから問題なし!残り2つのネジは慎重に作業。無事外れました。
白いプラスチックをどかすとこんな感じ。うん、何が何だか全然わかりませんw
へーこうなってるんだ〜、と独り言を呟きつつ一旦落ち着くことに。
・・・まだ何も始まってないのに何この疲労感…
作業スペースを整理
南に右下のケースはホムセンで買ったパーツケースにJD Jettingのステッカーを貼ったやつ。無骨でいい感じです。
いよいよジェット関連を交換するよ
やっとジェット交換です!
メインジェットとニードルジェット交換
まずはこれらです。
メインジェットを外したと思ったら、ニードルジェットホルダーも一緒に外れてきました。
「メインジェット+ニードルジェットホルダー+ニードルジェット」という3つで1つのパーツになっていることが判明しました。
もちろんパーツリストで見ていたけど、実際に見てようやく理解できたのです。
ニードルジェットはキャブ本体にくっついていたので、穴の単体側から細いドライバーで突っついて落としました。
そしたらいよいよ交換!ニードルジェットはS-1ってやつです。
これを穴の溝に合わせて落とします。
ニードルジェットと本体に溝があるので合わせてあげればストンと落ちました。
次はメインジェット!の前にニードルジェットホルダーを先ほどニードルジェットを落とした穴に入れて、規定トルクで締めます。
最後は小さいメインジェットです!
これもマニュアル通り規定トルクで締めます。
こんな小さいトルクを扱うことになるとは…
これで作業の2/4が終わりです。
アイドリングジェット交換
続いてアイドリングジェットです!
黒いほうが元々のやつ。25と書かれてますね。
正直トルクレンチがなかったら怖くてできないです(ナメクジ)
3/4の交換が完了。
プラスネジで開けた部分はこれで終わりなので蓋を締めましょう。忌まわしきプラスネジですが負けないぞ!
ココアでも飲みながら一息つき、最後の部品であるジェットニードルです!
ジェットニードル交換
ジェットニードルは一番大きいパーツです。比較してみました。
太さも違うし先端もJDは窪んでますね。クリップポジションは3でセットしました。
ここで忘れてはいけないのは、クラップスライドの穴にJD Jettingキットに付属するリングを入れること。(僕は忘れたまま走ってしまい、プラグが真っ黒にかぶってしまった)
ニードルをこの穴に差し込んで、その上からボルドで規定トルクで締めます。
バイクに戻ってキャブをつける
バイクに戻ったら、まずはスロットルスライドにペンチでつまんだスロットルワイヤーを差し込み、フタをする。
・・・あとは外した手順で元に戻すだけです。
キャブをリードバルブに連結して金具を軽く締めて仮止め。EXCのサブフレームを固定してるラッシングベルトを緩めて、フレームを元の角度なおろします。そして、キャブとエアクリボックスを連結!ちゃんと連結できたことを確認してから、金具をしっかり止めます。そしたらサブルヘームのボルトを締めて、マフラーを取り付けて、サイドフェンダーを取り付けて、タンクを乗せて、シートを取り付けて完成です!
試走
残念ながらCGCの後だったので灯火類が付いておらず、公道は試走不可。広い庭で試しにエンジンをかけると、とりあえずエンジンはかかった!しばらく走って見ましたがエンストなどせずアイドリングも安定しているように見えました。
本来はアイドリングスクリューを調整しなきゃいけないのですが、長時間のアイドリングは都内では不可能なので続きは現地でやることにしておしまいです。
作業をやって気づいたこと
いくつか気づいたことがあったので忘れないうちにメモ
もともとのセッティングは?
実はずっとずっと今僕がどんなキャブセッティングで乗っているのか知らなかったのです。
・・・ディーラー最初設定してもらった時に聞き忘れて、それから時間が経ってしまって今更聞けず…ずっとわかっていなかったんです。お笑いぐさでしょう?笑いなさい。笑えばいいじゃなの。
ということでようやく元のセッティングが判明したのです。
IDLE | NEEDLE JET | NEEDLE | CLIP | MAIN | |
---|---|---|---|---|---|
旧 | 25 | S-4 | 75 | 2 | 450 |
新 | 32.5 | S-1 | JD青 | 3.0 | 430 |
つまり今回の変更は、
- アイドリングジェットは番手を大きく下げたので「低回転がだいぶ薄くなった」
- ニードルジェットはジェットが細くなったので「中回転域が濃くなった」
- ニードルは(見た目で)細くなったので「中回転域が濃くなった」
- クリップポジションは下げたので「中回転域が濃くなった」
- メインジェットは番手を大きく下げたので「中-高回転域がだいぶ薄くなった」
ってこと。ぶん回した時にちょっと心配ですねぇでもそんなことまずやらない。
ニードルジェットとニードルは番手がないのであっているかわからないです。でも「形状が細くなった→隙間が増えてガソリンの量が多くなる→濃くなる」ということのはず。違ったら誰か教えて!
なのでインプレで上の通りに感じたら正解。それが乗りやすいかどうかはまた別ですが、少なくとも意図した通りセッティングできたことになります。あとは高回転時や低回転時を調整すればいいのかって思ってます。
やってみないとわからないことが多い!
これ!
今回の記事を読んで「大変だなー」と思ったと思います。僕も作業する前はそうでした。実際結構時間がかかりました。
でもね?
多分、次は1時間で終わらせられる自信があります。
作業よりも確認やどうやって外すのか、キャブってどういう構造なのか、みたいな基本的なことがかなりわからなかったのです。
なので一通り経験したら次からは勘所というか、迷わずに作業することができそう。
つまり、やってみないとわからないなぁって。
トルクレンチ大事!
僕は過去にトルクレンチを使わないガバガバ整備をしていました。結果、
こんな悲劇に見舞われたりしたことも・・・。そのおかげでちゃんとしたトルクレンチを買ったのでした。
それが今回の整備では大いに役立ちました。
1Nmや2.5Nmなど、こんな細かいトルクてじゃ無理ですし、本当にいいのかどうか、最後までモヤモヤしていたと思います。
誤差で1Nmでもずれてたらオシマイ。その点イングランドのスピットファイヤの整備にも使われていたメーカーなので信頼・安心して使えます(工具沼片足ズポー)
初心者でこういう精密機械系をいじるなら間違いないのでトルクレンチは買っておきましょう。
Norbar TTI 50トルクレンチ 1/2インチドライブ 10-50Nm 13659 1/4in Drive 1-20Nm 13285
- 出版社/メーカー: Norbar
- メディア: Tools & Hardware
- この商品を含むブログを見る
FIってすごい・・・
キャブはいいぞという人は多いですが、FIとキャブ両方とも経験した僕、今なら言えます。
キャブはいいぞOJSN「キャブはいいぞ」
僕「初心者にキャブを勧めるとか頭おかしいんじゃないですかね?」
・・・
この21世紀に好き好んでキャブをいじっている人はすごいなって思いました。
確かにコンピュータ不要でいろいろセッティングがいじれるのはバイクをいじっている感じがして「キャブいじってる僕カッケェ」って5秒くらい思いました。
でも残りの数時間はひたすら「なんでこんなにめんどくさいの・・・誰か助けて!」
でした。
セッティングを変えるために作業をして、しかも作業ミスしたらエンジンがからなくなる恐れもある。
僕は声を大にして言いたい。
僕「FIの方が絶対にいいぞ!」
でもまた一歩バイクのことがわかって嬉しい
これも本音。キャブをいじるためにいろいろと勉強した結果、多少なりともバイクの仕組みがわかって、よりバイクが親しいものになりました。
FIのほうが楽ですが、キャブをこうやっていじって、セッティングがばっちしだった時の嬉しさとかはあると思うし、思い入れっていうかより自分のバイクって感じがしたのです。
バイクが好きな人でキャブ車の人はぜひ弄ってみるとまたより一層バイクが楽しめるかもしれませんよ!
キャブはいいぞOJSN「次にバイク買うなら?」
僕「FIでセルがついているバイクです(真顔)」
僕「まだキャブで消耗してるの?」
まとめ
初めてキャブレターを外し、ジェット類を交換しました。
キャブセッティングでは本来、一発でセッティングが出ることはないですが、僕の場合にはすでにおすすめセッティングがあったのでパーツの取り付けだけでした。本来はこの作業をしてからコースで走り、またセッティングを見直すことを繰り返さないとダメ。そう考えると気が遠くなりそうです。
・・・さて、走った結果どうだったでしょうか。インプレは、
次回:初心者が250EXCのキャブレターと戦ってみた【インプレ編】
をお楽しみに!