こんにちは。ぼっちバイカーです。
このネタは長年(3ヶ月)程温めていたネタなのですがようやく結論が出そうになってきたので記事にする事にしました。
タイトルの通り初心者が情報を集めながら250EXCのキャブについてやって来た事を書いた記事ですので真似したりしてエンジンが焼き付いたりどうなっても知らないです。
21世紀にもなってキャブw
僕のバイクは2017年式で世界でも厳しいと言われているEURO4をパスしている車両2ストロークエンジンを積んだ車両です。
…そしてそんな最新のバイクにはキャブレターという20世紀の遺産がついており、キャブで息をしています。
そして、翌年の2018年モデルではキャブからFI(フューエルインジェクション)へ変わるという世界的な偉業を達成したわけです。さすがKTM!
この記事では壮大にキャブをdisってますがまさか自虐ネタになるなんて想いもしなかったよパトラッシュ…
「キャブかFIか」それが問題だ
FIモデルの250EXCはかなり悩みました。でもFIに切り替わった初めのモデルというテスターは知識の無い僕には怖い。それであればEXCのキャブの方が知見が貯まっているはず。と思い2017年式を選択したのでした。
・・・でもね?
2017年式のEXCからエンジンが変わり、キャブレターもケイヒンからミクニへ変わってしまっていたのです。。。
勿論これ自体は事前に調べていて知っていました。乗り味はマイルドで乗りやすくなっている、とも。
キャブ自体良くわかっていなかった僕は「メーカーが変わっただけでしょ」とあまり重要視せずに購入を決めたのでした。
その結果…
ミクニはパワーガナイネ
海外のオフ車フォーラムでも2017 250EXCのキャブレターのスレッドがいくつも立っています。特に書くパワーが無いというコメントは多くちょこちょこ散見されます。なんでも低速から高回転域まで全体的にパワーがないのだとかなんとか。
これは良く言えば「マイルドで2スト初心者でも非常に乗りやすい」。悪く言えば「パワーが無くてダメ」という事になります。
ミクニのキャブは諦めてケーヒンやLectron(レクトロン)、SmartCarb(スマートキャブ)のキャブレターへ付け替えた人も結構ちらほら。「まだミクニで消耗してるの?」と、煽っている人も少なからずいました。
「ミクニでもバッチシセッティングが出た」という人もおり、その方のキャブセッティングのレシピや標高、気温が書かれていました。でも人によってセッティングはまちまちで、誰を信じてよいやら…。
これらを見て僕は思ったのです。。。
海外のセッティングを日本でどう応用していいかわからない
これ。
海外のセッティングをそのまま真似してもきっとダメで、じゃあ何を日本用にどういじればいいのか。が皆目見当もつかない。そもそも今のキャブセッティングの何が悪いかもわからないのにセッティングなんて出せるわけがないのです。
日本の夏は特に「湿度」による違いが多いようですが微調整や自分が良いと思うセッティングは探していくしかない。でもそもそも正解や自分なりの軸が無いと何もできないのです。それに失敗したらエンジンが焼き付いてしまう可能性も大いにあるのです。
ディーラーでもそこはかとなく相談してみましたが「僕も昔沢山のジェットを買ってセッティングを煮詰めましたよ~懐かしい」みたいな話は聞けたものの自分でやってみるしかない的な感じ。こういう時に同じ年式、じゃなくてもいいのでせめて一緒にオフロードコースで走れたりする機会があれば乗ってもらって勘所やアドバイスがもらえるんだけどなぁ~。僕のショップは今はオンロードメインなのでなかなか難しいです。
KTMのマニュアルとキャブセッティングのアップデートはある
軸が無い、と書きましたがKTMのユーザーマニュアルにセッティングテーブルがちゃんと書かれています。
しかし納車時にディーラーの方から「マニュアルのセッティングだとダメだった。調べたらMikuniキャブレターのアップデートが出ているのでそっちでセットしたら調子よくなりましたよ」と教えてもらい、こんなシートを頂いたのです。
納車時はこれのどれかが設定されていたはず。このセッティングをするためのジェットやニードルもお店側で購入してくれたので、納車時に沢山パーツを受け取りました。
この”セッティング改”でも個人的には問題ないと感じたのですが、同じ年式の慣れている人によると”アップデートされたセッティングもダメだった”と聞いたのです。
具体的には中回転域(スロットル開度1/4 ~2/4)あたりがダメらしく高回転域(スロットル開度3/4~)まで回すと突然パワーバンドがくるんだとか。アイドルや低速(0/4 – 1/4)はまぁまぁ。結果的に乗りにくってなるようです。これは海外フォーラムの意見とも一致していました。
なお僕も同じ印象で、中回転域になるとが「ヴェヴェヴェヴェヴェヴェ!」って感じでトルクが感じられない。それを超えると「ビーーン」ってドッカンがくる。多分上手い人なら僕のバイクでも問題なく走れるのでしょうが、こういう情報を見ると気になってきてしまうのです。
でもどうすれば…涙
…結局悩んでるうちにめんどくさくなり、細かいことは気にせずに乗っていたのでした←
キャブについて再考するきっかけとの出会い
CGCの練習を埼玉の飯能でしたことがありました。タッケさん達と別れたあとに一人で過去死にかけた道をリベンジしてそのままいつものコンビニに立ち寄ったのです。
駐車場にはでっかいトレーラーにオフ車が5-6台くらい積まれており、付近にはイカツイピックアップトラックなどが一角を占拠していました。KTMが多い印象。
そしてそのあたりでコンビニのアイスをかじっている集団が。よく見ると半分くらい外国の方でした。
かっこいいなぁ。とか思いながら僕はちょっと離れたところにバイクを止めて、レッドブルと自宅まで自走するためのエネルギー原(ご飯)を買ってドロドロの愛車を眺めていたのです。
すると…
???「ボクも同じバイクのってマスよ」
と一人の男性が話しかけてきたのです。日本語で!!!
もしかして…
僕「もしかして、Tokyo Offroadの方ですか?」
???「ソウデスヨ」
僕「WOW(ネイティブ)」
・・・
Tokyo Offroadの中の人に偶然遭遇した
彼は”Tokyo Offroad”というYoutuber(?)さんでした。
関東住みのオフローダーでYoutubeを見てる人でだったら知っている方も多いんじゃないでしょうか。僕もチャンネル登録しています。
なんといっても彼は僕と同じKTM 250 EXC 2017年式に乗っている御方。しかもメカニック知識はすごいしライディングテクニックもすごいです。
彼のチャンネルは「整備・カスタム5割、ツーリング4割、そのた1割」って感じ。特に整備・カスタム動画はわかりやすく初心者向けで僕は勝手に整備の師匠的な感じでいつも参考にさせて頂いているのです。英語もとっても聞き取りやすい。
整備動画を見るとわかりますが道具は一流。コンクリート打ちっ放しのクッソかっこいいガレージ。エアールールも完備されています。そしてカスタムしてない場所を探す方が難しいくらいカスタムパーツてんこ盛りの250EXCがかっこいいです。
動画で走っている場所が僕が遊んでるところだったりして、いつか会えたらいいなと思ってたので偶然ってすごい!!
キャブについて聞いてみた
彼はキャブについて動画を投稿していましたが、本音とタテマエみたいなのがあるかなって思いミクニのキャブについて質問してました。
僕はキャブのセッティングについてまったくわからない素人だけど、どうやら純正のマニュアルやアップデートされたセッティングはだめらしい。Tokyo Offroadさんと同じセッティングにすれば間違いなく良くなるはず。でもお金はあまりかけたくない。そんなことを聞いてみました。
過程は飛ばして結論だけ書くと「JD Jetting lキットを使ったセッティングと250SX (KTMの2スト250ccのモトクロッサー)のシリンダーヘッドを変えると結構良くなるよ」との事。
言われるがままに普段使う事が無いFacebook(ぼっちバイカーアカウント)を起動して友達になり、メッセンジャーアプリをインストール。ダイレクトメッセージでキャブセッティングのメモ画像を送って頂いたのです。
これでキャブセッティングもわかったのであとはやるだけ。ここまで外堀がうまったらもうやるしかない!と意を決してJD Jettingを導入する事にしたのでした。
なお帰りに、
「…ジソウ?それはタイヘンダネ」
とこんなところでも煽られてつらかった…。
僕にもっと英語力があったら「デュード。そのトレーラーの余った場所に載せてくれよ。メーン。」と言えたに違いない。足りないのは英語力で図太い精神力やコミュ力では断じてない。いいね?
JD Jetting kit?
この”JD Jetting kit”とは何かを説明すると、
「キャブに詳しい集団がバイクごとにファクトリーでも通用するレベルのセッティングがでる為に作ったジェッティングキット」
です。よからぬ妄想をする人のために書いておくと、JDはJames Deanの略だからね?
キットには標高に応じたセッティングテーブルがついて来ますのでどんな環境でも最高のキャブレターセッティングが出せ、しかもこれらセッティングに必要なジェット類やニードルは全て入っているのです。
JD Jettingって怪しくない?
???「何それあやしいんですけど。ちゃんとした奴なの?」
僕も怪しんでました。サイトはこんな感じだし。
bgが#000
サイトを眺めていたらこんなレポートのページを発見。
2017, 2018 KTM Husqvarna Mikuni TMX Tuning Photo Gallery by James Dean at pbase.com
このページを開くと、画像とヒトコトが書かれているギャラリーが。
画像を見ると「ミクニのキャブで高地テスト」「ダイノ(?)でJDありとなしでパワーチェック」「数年前のモデルとのパワーの比較」「KTMのジェットパーツのサイズ比較」「排気デバイスのスプリングごとの特性の違い」「ミクニのキャブのフロートレベルテスト」などなど・・・
画像は1ページに20枚あり、全部で9ページ。180枚の写真がありました。これは写真というよりはレポート。これだけの時間や設備を以て最適なセッティングを論理的にやってくれているのです。
写真を全部紹介したいですが数枚だけピックアップ!
ハスクバーナのTE250 2017をダイノに載せてパワーやトルクをチェックしているようです http://www.pbase.com/jdjetting1/image/164114873
ニードルジェットの違い http://www.pbase.com/jdjetting1/image/166168935
JD Jettingキットの有無によるトルクの違い。7000回転あたりから違ってくるのですねhttp://www.pbase.com/jdjetting1/image/164603323
シリンダーヘッドをSXのものに変えたときのトルクの違いhttp://www.pbase.com/jdjetting1/image/164478579
排気デバイスのスプリング(赤・黄色・緑)でのトルクの違い http://www.pbase.com/jdjetting1/image/164188186
排気デバイスの赤スプリングでドリースクリューの開度毎のトルクの違い http://www.pbase.com/jdjetting1/image/164218756
すごい・・・レーサーってこういう情報がなかなかみれないのですごくうれしい…。体感でなくデータとしてみれるのってすごいです。
とりあえず出来ることとして、JD Jetting入れて、排気デバイスのスプリングを赤にして、ドリースクリューを全開。さらにシリンダーヘッドをSXの物にするだけでもかなりパワフルになりそうです。パワフルすぎて扱いにくくなるのかもしれませんが、何をいじるとどうなるのかが見えるのでこれはかなりうれしい情報です。
どうやって買えるのさ?
???「でも、お高いんでしょう?」
という声が聞こえてきそうですが、世界のオークションサイトebayで$80.70。日本円で1万円行かないくらい。勿論お高いですがこれで改善されるならトライしてみる価値がある値段です。
デデン
ebayってオークションサイトだと思い実は今まで利用したことが無かったのですが、定価で売られている業者も数多くいることがわかりました。業者なら安心だし注文して支払をPaypalでやれば住所登録も不要でうちまで届きます。注文してからおおよそ1週間くらいで届きました。
JD Jetting kitが来たぞ!!
せっかくなので開封の儀を執り行います!
ちゃんと2017 250 EXCのMikuni用と書かれていて安心
同梱物はこんな感じです。
- ミクニ メインジェット: 380, 400, 410 & 420
- ミクニ パイロット(アイドル)ジェット: 27.5
- ニードルクリップ
- ニードル(青) (直径が太い)
- ニードル(赤) (直径が細い)
- ニードルシムワッシャー と リテイナースペーサーリング
- キャップスクリュー 4x15mm (2)
- 取り付けマニュアル
- JD Jettingステッカー
マニュアルにはジェットやニードルを交換するための手順が細かく書かれておりました(英語)。一部理解できなかったですが概ね理解できるくらい簡単でしたので問題ないハズ。
このキャブレターのセッティングテーブルは大きく分けて「アクセルあんまり開けない狭いトレイル用」と「モトクロスコースや砂地等ぶん回す用」の2パターン書かれていました。僕は前者かな。
このままセッティングしても良かったのですが…
Tokyo Offroad氏オススメセッティングを紹介するよ
彼から送ってもらったセッティングテーブルはJD Jettingキットのセッティングからさらに日本向けに試行錯誤した結果。
本人に許可頂いたので紹介します。繰り返しですが何かあってもオウンリスクです。
IDLE | NEEDLE JET | NEEDLE | CLIP | MAIN | |
---|---|---|---|---|---|
夏 | 30 | S-1 | JD青 | 2.5 | 420 |
冬 | 32.5 | S-1 | JD青 | 3.0 | 430 |
※Air Screw ~1.5
項目
IDLE:スロー、アイドル、パイロットジェット
NEEDLE JET:ニードルジェット
NEEDLE:ニードル
CLIP:クリップ位置(ニードル外側から数えた順番)
MAIN:メインジェット
Air Screw:エアスクリュー開度
わからない人にはナンジャラホイですよね。僕ももらった時は「あっなるほどねーナルホドナルホド」と思わず知ったかぶりしてしまいましたもの。
JD Jettingキット以外に用意したパーツは以下。いずれもKTMの純正パーツです。
- 55431021100 NEEDLE JET “S-1”
- 55431007300 IDLING JET “30”
僕の場合JD Jettingキットとこれがあればとりあえず一年乗り続けられそうです。
盛大な手のひら返し
上記パーツを注文した翌週。
こんな動画をTokyo Offroadさんがアップされました。
冒頭だけガバガバ翻訳すると・・・
「このバイクは走行時間120時間を超えたけど良く走ってくれてるよ。でもcuriosity(好奇心)が僕を負かしたのさ。…僕はミクニからケーヒンのキャブレターに変更する事にしたよ」
僕「えーーー!」
好奇心旺盛すぎでしょ!!
おさるのジョージですか?(原題:Curious George)
・・・
動画の結論として「ケーヒンに変えてJD Jettingキットを使ったらとっても良かったよ」ということでした(白目)
一応理由を聞いてみることに。
これもはやクソリプ
クソリプにちゃんと答えてくれてありがたい…
まぁ、好奇心は誰にも止められないね!本人としても「お金をあんまりかけないならミクニにJD Jettingキット」「お金かけていいならケーヒンの38 PWK Air Striker AG ShortyとJD Jettingキット」とのことでした。
別にレースで上を目指すわけでもないのでまずはミクニで慣れてみて、いつか宝くじが当たったらケーヒンのキャブへのカスタムを検討してみよう。そうしよう。
と自分を納得させたのでした。
取り付けとインプレはまた次回
部品が集まったので、キャブレターのジェットやニードル交換を実施しました。
これにも色々トラブルというか大変で書きたい事も多いため、【交換編】として書くつもりです。
まとめ
2017年式 250EXCではキャブレターのメーカーがケーヒンからミクニへ変わっており、ミクニではなかなかうまくセッティングが出ない問題が実はありました。
海外でも色々な方がセッティングを試されており色々な情報がありました。しかし初心者の僕は判断がつかない為困り、あきらめ。そんな時に偶然同じ年式のバイクに詳しい方と知り合えてキャブのセッティングを教えて貰えたのでこれを機にキャブセッティングに挑戦する事にしたのでした。
JD Jetting kitというキャブに詳しい人が色々なデータをもとに作った最高のセッティングレシピをもとに日本でも乗りやすいセッティングなのできっと僕にもいいはず!
しかし、パーツを注文した次の日に彼の動画で「ミクニからケーヒンのキャブに乗り換えた」という動画が!
本人に聞くと、「ケーヒンの方が効果はあるけど高いし、ミクニのJD Jettingキット導入なら比較的安価でしかも結構良くなる」とのこと。
もう注文はしてしまったし、ここまで来たらあとは本人の言葉を信じて最後までやり遂げることにしたのでした。
次回「初心者が250EXCのキャブレターと戦ってみた【交換編】」
乞う、ご期待!!
2017/11/17追記- 作業編を書きました!