こんにちは。ぼっちバイカーです。
KTM 690 ENDURO Rのラジエーター不具合があり、一件落着したのでレポします。
ちなみに前半はラジエーターについて調べたことを書いているので知ってるよーという方は「EDRのラジエーターからクーラントが漏れた」からお読みください。
不具合箇所はラジエーター
タイトルの通り、ラジエーターで不具合が発生しました。その前にEDRのエンジンについておさらいを。
LC4は水冷エンジン
KTM 690 ENDURO RのエンジンはLC4いう名前がついています。「 Liquid-cooled single cylinder 4-stroke engine」の略。 日本語だと「水冷4サイクルエンジン」。そのまんまです。このエンジンはKTMでも伝統的なエンジンで歴史は結構長い。
1993年のLC4
最新のLC4
最新だとバランサーが強化されて10000rpmで73馬力を引き出すビックシングル。単気筒なのに低回転よりも高回転で伸びるのでぶん回したい人は歓喜ですね。
水冷という名前の通りエンジンの熱を水で冷やすエンジンです。水といっても真水ではなくクーラントという専用の冷却水が使われています。EDRだとシリケートフリーのモトレックスのM3.0が指定されています。
このクーラントは冷却水ですが当然エンジンに接していると熱くなります。この熱いクーラントを冷ますのがラジエーターです。
ラジエーターの基本
ラジエーターは大きく分けて二つのパーツで構成されてます。「ラジエーターコア」と「ラジエーターファン」です。どちらも熱くなりやすく冷めやすいアルミ製で熱の発散しやすくするために薄く作られています。ラジエータコアはチューブ状になっており、中にクーラントが満たされています。
コアは横長でTubeと書かれてて、じゃばら状のものがフィンです
ラジエーターはバイクが走ってる時はもちろん止まっている時もラジエーターファンを回すことで熱を発散できます。エンジンの熱をクーラントで冷ましつつそのクーラントは熱の発散に特化したラジエーターで一気に冷ますことでエンジンのオーバーヒートを防ぎます。
水冷 VS 空冷
水冷と対比されるものとしては空冷でしょうか。クーラントとラジエーターがなく、代わりにエンジン本体で熱を発散できるようファンが付いているようです。ラジエーター付きのエンジンみたいなものですね。空冷の方が当然軽くなりますが渋滞や信号待ちが続く道ではオーバーヒートしやすいようです。この辺はエンジンの熱量もにもよるのでしょうね。
大排気量エンジンでは熱さからは逃れられない運命ですが、僕の690も例外ではありません。渋滞や信号にちょこちょこ引っかかるとあっという間に水温メーターが積み重なっていき、ついにはラジエーターファンが回り始めます。
ラジエーター不具合の大半はクーラント漏れ
今回の不具合はラジエーターからクーラントが漏れる事象でした。
「ラジエーターからクーラントが漏れた!」
だけだと不具合ではない可能性もあります。ポイントは漏れている場所。チェックしてみましょう!
今回のラジエーター漏れで色々勉強したのでその範囲で切り分け方法をご紹介します。あくまで素人の考えなのでご注意を。間違っていたらご指摘をお願いします!
漏れる箇所を特定する方法
ラジエーター漏れの場所を正確に特定することが大切です。
方法は以下
- ラジエーター周りを綺麗に清掃
流水で古いクーラントや汚れを流して目視確認しやすくします。 - クーラントを規定量入れる
クーラントが少なと内圧が不足して漏れない可能性があります。規定量入っていない状態はエンジンによろしくないため、規定量をしっかり入れます。 - エンジンを温めて場所を特定
アイドリングか試走を行い、ラジエーターが漏れ出す場所を素早く特定します。
これで場所を特定することができるはず。
…特定できましたか?
クーラント漏れ箇所ごとの原因と対策
クーラントの漏れる場所によって原因は異なります。
漏れている箇所がウォーターライン周り
ここで言うウォーターラインとはエンジンとラジエーターの間を繋いでいるクーラントが流れるチューブのこと。ウォータポンプというクーラントを送り出している装置がついていることもあります。
この接続部から漏れている場合、チューブが劣化してクラックが入ってたり接続が甘くなっている可能性があります。チューブ交換や留め具をリフレッシュすることで改善するでしょう。
漏れてる場所がリザーブタンク周り
ラジエーターやウォーターポンプ内にはクーラントが流れておりますが、温度が上がることで沸騰したりしてウォーターライン内の圧力が高まります。その状態でクーラントキャップを開けようものならクーラントが勢いよく吹き出すハズ…
こんな状態でウォーターライン内の圧力を保つための仕組みがリザーブタンクです。圧力が高まるとクーラントがリザーブタンクに逃げてけれるのでクーラントが爆発することを防ぐことが期待できます。
このリザーブタンクにクーラントがたくさん入ってるとここからは吹き出すようです。その場合の対処方法はリザーブタンクのクーラントを減らしたり、リザーブタンクとウォーターラインの接続部がしっかり留められてるかチェックすればオーケー。
つまり、リザーブタンク周りからの漏れは不具合ではなく設計上の仕様です。お金はほぼかからないでしょう。
漏れてる場所がラジエーターキャップ周り
ラジエーターキャップはただの蓋ではありません。内圧によって開く弁が付いており、内圧が高まると弁が開いて、上記で紹介したリザーブタンクへクーラントを逃すようです。
しかし劣化やクーラントの錆が詰まることで弁が正しく機能しなくなることがあります。その場合、このキャップあたりからクーラントが漏れるのです。この場合の対処方法はキャップの清掃や交換をしてあげることです。これで通常通り内圧が高まりすぎることなく動作するので漏れがなくなります。
要するにラジエーターキャップの故障。ラジエーターキャップの費用がかかります。これはバイクによって変わりますが消耗品なので割り切って交換しましょう。そこまで高くはないはず。
漏れる場合がラジエーターコアあたり
漏れる場所がラジエーター本体だった場合、ラジエーターコアに穴が開いてしまっています。フロントタイヤが跳ねた小石がラジエーターにヒットする事で穴があくケースが一般的のようですが、もともと熱発散効率を最大限に高めるためにラジエーターコア自体が薄いアルミで作られているため、ヒットなどしなくても漏れることはある模様。
とにかく、ラジエーターコアに穴が開いた場合には対処方法は塞ぐことかラジエーターごと交換するのどちらかです。費用は上記よりもかかりそうなことは想像にたやすいですね。
EDRのラジエーターからクーラントが漏れた
ここからが本題!
僕のEDRでクーラント漏れが…
イヤダイヤダイヤダイヤダ!!
…
EDRはコケルとラジエーターがヒットしやすい設計となっており、海外のアドベンチャー界隈でもEDRでオフロード遊びするなら「ラジエータープロテクター装備」が必須カスタムとして書かれています。
ラジエータープロテクターで1.9万弱。。。
事前に把握していた僕はドハデナKTMのパワーパーツを泣く泣くあきらめて、この地味なラジエータープロテクターを早々に装備したのでした。
このおかげでラジエーターは安心していたのですが、、、ドウシテコウナッタ・・・
何もしてないのに壊れた()
本当に今回はなぜ漏れ出したのかがわからないのです。ラジエーター漏れに気が付いたのは東京モーターサイクルショーの帰り道でした。
しかしその前にも何度かバイクに乗っていましたクーラント漏れはなかったですし、最後に走った林道でもそこまで大きなコケは無かった。原因がわからなかったのです。
ディーラーへ相談!
今月末のファンレースであるWEXに向けてディーラーへパーツを注文しており、受けとりの際にかるく相談してみました。その際にラジエーターについてや本記事前半に書いた「場所の特定方法」を教えてくださり、「まずはどこから漏れるのかをチェックしてみてください」とのこと。
確かにディーラーにバイクでついた時にはラジエーターがクーラントだらけでどこから漏れたのかはわかりづらくなっていました。という事でまずはEDRでどこからクーラントが漏れるのかをチェックです!
EDRでクーラント漏れ箇所をチェックした!
どこから漏れたのかチェックしよう。
まずは綺麗にしてクーラントを補充
EDRはオフ車風情なのでラジエーターの前にはプラスチックのラジエーターガードがついてます。またサイドシュラウドでラジエータが覆われてます。
…まずはネイキッドにしてやるぜ!!脱ぎな!!
流水で2回洗い流すもラジエーターにはピンク色のクーラント跡が残ってしまいます。柔らかいブラシでゴシゴシしながら3度目の流水をしたらようやくピンクが落ちました。
ここまでして今晩はおしまい!!一晩かけて自然乾燥です。
明るい時に試走して場所を特定します
ラジエーターが黒くてクーラントが見辛い。なのでこの作業は明るい時にやるのが吉。
明るい時にみると汚いですね…でもラジエータコアは壊れてなさそうに見える。
こうしてみるとラジエーターが異様に大きい。この辺は250ccオフ車との違いですね!
そして。。。
もちろんラジエーターキャップは…
でも実際見るとラジエータコアは傷もないし写真でじっくり見ても傷はないと思うんだ。
認めたくない…認めたくない…ラジエータコアが壊れたなんて認めないぞ僕は。
もう一度試してみることに…
もしかしたら何かも間違えだったのかもしれない。ラジエータのクーラントを洗い落として別の日に試走してみました。
試走!
…結果は、
・・・・・
・・・
・
僕「こんなにかっこいい僕のEDRがクーラント漏らすわけない」
漏らすわけないんだ。ないんだ…
実ははてなブログツーリングはこの状態で参戦したのです。だからクーラントが飛散してかからないようケツ持ちしてたのです。なので、もし僕の後ろを走った人(おもによっしーさん?)でバイクにピンクの水滴があったら急いで流した方が良いかもしれません。クーラントは侵食性があるそうです。。。ごめんなさい!!!
不具合箇所はラジエータコアで確定
原因は全然わからないし写真の通り目立った傷もない。しかもこうならないために2万弱もしたラジエータプロテクター入れてたのに。どういうこと!?でもこのまま漏れ続けるとブーツもびしゃびしゃだし、パリッと新品に交換するしかないよなぁ。
覚悟を決めてKTMのパーツ番号から調べます。
七万円弱ですってよ(オーバーキル
・・・・
うワァァァァァァァァァだダァァァァァァァァァアーーーー
・・・
ちなみにそれ以外の方法としては、アルミ溶接ができる業者へラジエータを持っていって溶接して穴を塞いでもらう方法があるようです。実際ラジエータ修理で検索するとヒットします。一万円から2万円くらいでやってくれそうな感じですね。ただし溶接してもらって治ったとしても内圧がかかると今度は別の薄い場所から漏れるという、いたちごっこになることもあるんだとか。それで二、三回繰り返したら新品のラジエータ買えるんじゃ…。
進むも地獄、引くも地獄。もう泥沼ダァ。。。
ディーラーへ相談(二回目)
とりあえず僕よりも知識があるディーラーさんを頼ろう。
調べた上でどうすればいいか相談しましたがぐぐった内容とほぼおなじでした。ラジエータ修理業者は紹介できないとのこと。あとはクーラント漏れを止めるケミカルもあるんだとか。ぐぐったらワコーズのこれが有名みたい。
もろ二輪ダメって書いてあるんですがそれは…。
これはクーラント入れ替える時に必ず一緒に入れる必要があるようですね。このケミカルによってウォーターポンプシールを傷めないかも心配しています。それに一時しのぎのままって気持ちよくないです。
どうしよう・・・
クレーム処理でいける?
クレーム処理について詳しく聞いてみました。
KTMのラジエータの免責として「ラジエーターに小石などがヒットした結果穴が開いたり曲がったりした場合には保証対象外」だそうです。そりゃそうだ。小石が跳ねるような場所をオンロードバイクカテゴリに所属しているEDRが走っていいはずがありませんよ。
写真では目立った凹みや傷がないし、僕が目視で確認した限りでもおなじでした。つまり小石などが当たって穴が空いたのではない。つまり今回の不具合は免責には該当せず、初期不良としてクレーム処理でいけそうってことです。
クレーム処理は博打
ただし、クレーム処理は以下の手順を踏む必要があります。
- ディーラーにて新品ラジエータパーツを注文
- ディーラーにてパーツ交換・修理
- ディーラーからKTMジャパンへ不具合パーツ送る
3のあとに、KTMジャパンがそのパーツが本当にクレームとして受け付けるかをチェックするってわけ。ここでもし「このラジエーターはユーザーが悪い」となった場合、パーツ代や工賃は全て僕持ちです。
…きっと8万円くらいにいくんじゃないでしょうかね。
ディーラーとしては「クレーム処理」として対応するように動くけどジャパンがどう出るかは出たとこ勝負です。でも、実際目立った傷や凹みがないし2万円するプロテクターも装備ていたのだし、さすがに通して欲しいところ。。。
クレーム処理でいくことにした
僕がうだうだメールで質問していたらついにディーラーから「この件は僕を信じてください」というメッセージをいただき、信じようって思いました(単純)
少し悩みましたがこのまま漏れているのでもうやるべきことは一つ。腹くくるしかない!!
そこからは早かった!パーツを注文してもらいはてなブログツーリングの翌営業日にバイクを入庫。
ちょうどその日にラジエータが届いた模様。
ラジエータの作業はお金かかりませんがクーラントを交換するのでお金がかかります。これはしゃあなし。EDR指定のモトレックスのM3.0かどうか確認しましたが汎用のクーラントとのこと。シリケートフリーでウォーターポンプシールを傷つけないのが売りのクーラントなので気になってる事を伝えましたが大丈夫とのこと。
…まぁ気になるようならすぐ交換してあげればいいかな。
…この店、EDRがやけに多いな。お客さんのも含めて4台置いてありました。
・・・
「よろしくお願いします!」と担当メカニックさんに最敬礼をしてお店を出ます。
・・・そしてその日の夜・・・
メール「修理が完了しました」
僕「はっや!!!」
とういうことで仕事をそうそうに切り上げ、バイクを引き取りに行ってきたのでした。
お店に入店するとすぐにEDRがひょこり出てきます。
ラジエータは交換済みでクーラントも補充済み。リザーブタンクにもしっかり入っていました。整備完了後、アイドリングや試走をしてクーラント漏れは出ていないことも確認済みとのこと。よかった。。。
外したラジエータについて
外したラジエータについて聞いてみましたが、やはり漏れている部分に目立った傷や凹みはなかったようです、クレーム処理でいけると思うとのこと。
ラジエータについてはしばらく様子を見るということでバイクを引き取り、嬉々として帰宅したのでした。
ラジエータープロテクターが・・・
帰り際、ディーラーさんから「ラジエータープロテクターがかなり曲がっていましたよ」と教えていただきました。
右側に倒したのかな?と話していましたがにっこり笑顔を返しつつ黙っていました。できる限り修復しておいてくださったようで、感謝…。
結果はまだ待ち状態
ラジエータがクレーム処理で行けるかどうか、まだ確定ではありませんが状況的にはおそらくいけると思われます。結果はまだ待ち状態なのでしばらくはドキドキ落ち着かない日々を送ることになりそうです。
まとめ
KTM 690 ENDURO Rのラジエータから何もしていないのにクーラントが漏れるようになりました。
漏れている箇所を特定するとその部分には大きな破損や傷がないことが確認でき、初期不良としてクレーム処理でいける可能性が高いことが判明。クレーム処理として交換を依頼したところすぐに修理完了した。と言う話です。
EDRでそこそこダートを走る気がある人はまずはラジエータプロテクターを装備しましょう!今回の件もありますがラジエータをしっかり守ってくれる間違いない商品だと思います。重量は重くなるし安くないですがラジエータ交換したら7万円弱かかります。2万円をケチって7万円を失うことがいやならプロテクター、入れておきましょう。
漏れてしまった場合にはクレーム処理も場合によってはいけるかも!ってところでしょうか。
今回の一件でラジエーターの仕組みや基本が理解でき、EDRのことをまた一つ理解できたのとともに困難を乗り越えたことでさらに愛着が湧いたのでした。
とりあえず、WEXではなるべく転かさないようにガンバロウ・・・。
こんな感じ。