こんにちは。ぼっちバイカーです。
オットー・フォン・ビスマルクさんの名言があります。
Nur ein Idiot glaubt,aus den eigenen Erfahrungen zu lernen.
Ich ziehe es vor,aus den Erfahrungen anderer zu lernen,um von vorneherein eigene Fehler zu vermeiden.
上記をGoogle翻訳にぶち込むと、
唯一の馬鹿は、自身の経験から学ぶことと考えています。
私は当初自分の間違いから避けるために、他人の経験から学ぶことを好みます。
愚者は経験から学び賢者は歴史から学ぶ、という名言は若干間違っているようですね。
…僕も人の失敗から学ぶ事を好むべきでした。天邪鬼なので人がダメっていうと本当にダメなのか疑ってしまうのですよね…。
ブログではKTMのかっこよさやバイクの楽しさなどポジティブな事を書きたく、ネガティヴな事や自分がかっこ悪い事はあまり書きたくなかったのでこのエントリを書くかはかなり迷いました。
いろいろ考えた結果、僕の失敗を読んで一人でも同じ経験をせずに済めばいいなという気持ちが上回った為、このエントリを書く事にしました。
他にも同じ事例がネットにもあまりなかった、という事もありますが…。
初心者天邪鬼が整備した結果
こんな事に…
うあぁ!
端的に言うと、整備不良でエンジンオイルが噴き出した感じ。
リアタイヤがオイルをビシャビシャ踏んでずりずりスリップしたのにこけなかったのはオフ車経験が生きたのかな。とテンパっているとどうでもいい事ばかり考えてしまうなぁと思いつつ、小一時間かけてパーツクリーナーとウエスを駆使しながら出来る限りみんなの公共物である道路を清掃しました。
原因は?
翌日にリアルフレンドとのツーリングに向けてオイル交換を行った事が原因でした。
嫁に伝えていた整備タイムリミットを過ぎていた事や蚊が大量に出現する場所での作業だったため、早く終わらせてしまいたかった。といういかにも整備に向かない環境でした。
トルクレンチを使わずに 手ルクレンチ で焦って締めた時に、
「パチンッ!」
と何かが爆せる音がし、それ以降ネジをいくら締めてもぐるぐる回るだけ。しまいにはネジをペンチで引っこ抜くとそのままズルズル抜けるガバガバな感じになってしまいました。
要するにエンジンクランクケースのオイルフィルターキャップネジ穴をオーバートルクで壊してしまったのですね。
後で調べたところ、エンジンのクランクケースはボルトよりも柔らかい素材でできているため、オーバートルクで締めると簡単にクランクケース側のネジ穴が削れ広がってしまうという事がわかりました。
このボルトはM5という小さいもので、6Nmという本当に小さいトルクでよかったんだよ…。
ネジ穴が壊れた場合、最悪のケースはクランクケース交換。ケースだけで15万円オーバー。さらにエンジンを下ろしたりケースを開けたりとネジ穴1つのために大変な手順が必要ですので工賃はすごいだろうなぁ…
20万円は超えるとか…。
ネジを見ると金属の削りカスのようなものが付着しており、素人ながらとんでもない事をしてしまったと気づきました。
素人なのでネジロック剤でもつけておけばいけないかと、と謎理論の淡い希望を元にネジを差し込み、オイル交換を終わらせました。
・・・
試運転を開始するとエンジンが動き油圧が上がります。するとネジがしっかり閉まってないフィルターカバーが開き、オイルがブシャーっと噴き出しました。
そして、上記画像となったのでした。
これは今回の整備だけでなく今までの積み重ねでこうなったといっても過言ではありません。今までもやらかしていたのだと思います。
うーん、アホ(褒め言葉ではない)ですね。
予定していたツーリングは勿論行けなくなってしまい、その日しばらくは子育てを放棄して自室に籠もり自戒と反省を存分にした後、ようやく原因を考える余裕ができました。一時は自己嫌悪で自分はバイクに向いていないし降りる事も考えるほどには今回の一件は精神的にキツかったです。本当に僕30才なのか…。
いや、すべて自業自得なのですが…。
現実的な解決策を調べてみた
ネジロックでは当然ダメでしたので掃除を終えてから、対策を考えました。
1. 自力で頑張る場合
世の中にはレスキュー工具というものがあります。
いわゆる整備ミスをカバーしてくれる類の工具ですね。ナメてしまったネジを抜く奴等困った時には重宝する、ケドお高い工具です。
今回はリコイルシステムという、ネジ穴にスプリングを突っ込んでネジ穴を作る工具を使う事で対応できそうな事がわかりました。
しかもリコイルを入れると強度も上がるので鉄道車両や航空機などにも使用されているようです。
使い方はこんな感じ。
用意すべき専用工具は電動ドリルくらいです。ドリルの歯も含めてすべてきっとに付属しているので敷居は低いですね。
しかし・・・
ドリルでクランクケースに下穴を開けたり、正確にコイルを挿入できなかったりするとそれこそ手の付けようがなくなります。(一応リコイルのスプリングを抜く専用工具も出ているようです)
ドリルを使い慣れている方なら良いですが、サンデーカーペンター(日曜大工)な僕が果たしてまっすぐドリルで穴をあける作業ができるのだろうか・・・。
しかも切粉が入ったりしたら目も当てられませんし…。
調べたところ、バイク屋さんでもリコイル対応は責任とれないのでオーナー責任の上で対応する、という事が一般的なようです。
今回、自前整備で痛い目みていたのでこれをやるのは最後の手段だな、という感じでした。
リコイルを依頼できるお店もあるようなのでそこに持っていくかぁ…でもバイクは動かせないのでトランポしていく必要が・・・
2. ディーラーへ相談
工賃をケチって自前整備した結果なのでディーラーは見てくれないだろうなぁと思っていました。自己責任の上で整備をしているわけだし、僕なら見ないです。
とはいえ僕と同じように失敗したオーナーさんが既にいたとしたら、アドバイスくらいはもらえるかもしれません。
悩んだ末
僕はディーラーへ相談してみることにしました。最悪クランクケース交換の提案を受けることも覚悟して…。
僕「すみません。オイル交換でオイルフィルターのねじをオーバートルクしちゃったみたいでネジがぐるぐるして締まらなくなってしまいました…その状態でエンジンかけたらオイルがダダ漏れになってしまいました…」
デ「あぁ~、、、やっちゃいましたか・・・」
僕「すみません…この状態で何とかする方法ってありますでしょうか…。リコイルシステムを使えばネジ穴を再生させることができるようですが…」
デ「リコイル使わなくても1サイズ大きいM6でタップを立ててあげる方法がありますね」
僕「本当ですか!!お願い、できるのでしょうか…」
デ「はい、大丈夫ですよ。」
この後レッカーの手配をお願いし、その日に引き取りに来てくださいました。
こんなことになるならバイクをきれいにしておくべきでした…泥でドロドロ、さらにオイルが絡まっており酷い状態のままお渡ししてしまいました。
・・・こういってはアレですが、僕はディーラーさんからみたらパーツ発注ばっかりお願いしてメンテナンスには出さないいわゆる悪い客なので、今回のようなパーツ取り付け以外の補修作業は断られてしまうかと思っていました。ただでさえディーラーさんはいつも忙しそうなので…。
今回の一件でディーラーに任せるべき作業と自分でやれる作業の線引きの基準をしっかり考えられるようになったので今後は作業もお願いしつつ、良い関係を築いていきたいと心から思ったのでした。
次は1万キロの時点でのメンテナンスかな。これからも宜しくお願い致します。
バイクを見送った後…
今回の反省をしつつ、今後どうするのかを考えたりしました。
今回はタップを立ててもらう事で何とかなりそうですが、ドレンボルトなんかだとエンジン穴が直結してるので切粉等の関係で簡単ではなさそうです。そういう意味ではラッキーだったのかもしれません。
ディーラーに任せるのが間違いなしですが、バイクを自分でいじれるようになりたいというのもありますのでどこまでやるのかを考えないといけないですね。
今回やってしまった場所以外でも若干破損している場所もあるかもしれませんし、まずはそこから確認していこうと思います。
そして整備とは何か、みたいな基本を知識だけでも知っておいた方がいいかなぁと強く感じましたので書籍も調べてみたりしています。
今回の勉強代
大体以下でしょうか。
- 漏れたオイル1.8L:3000円くらい
- ウエス1ロール:500円くらい
- パーツクリーナー1本:400円くらい
- 工賃:13000円くらい
- 精神的負担:結構つらかった
こんな感じ。それ以外にも車両価値が下がった等もあるのでしょうがもはや売れる気がしない。
頭のいい方ならわかるかもしれませんが、この損失だけでちゃんとしたメーカーのトルクレンチを買う事ができるのですよね。
整備をやるなら工具はケチるな、というのはこういう事なのですね。
上記格言(?)を身を以て体験した今なら言えます。
整備をやるなら工具はケチるな!!工具をケチるならディーラーへ任せろ!!
という事になります。
リスクを許容できる限りではこれからも自前整備を行う予定ですが、できないことはプロにお願いして愛車をしっかり維持していきたいですね。ただでさえお高い車両ですので…。
この失敗を活かせるようできる事から取り組んでいこうと思います。まずはトルクレンチの購入からですね。
という事で僕は色々と調べた結果、ノーバーのトルクレンチを購入。イングランドのノーバーというブランド。ヨーロッパではかなり定番のツールだそう。
トルクレンチの値を信頼しないと意味がないですが高いのは買えない。これは信頼性と安さのバランスが良いと思います。
細かい理由は次回書こうと思っています。
これを読んだ方の中で一人でも意識を改革してきちんとした工具を揃えるか、ディーラーに任せようと決断される方がいたとしたら、それだけでこの記事を書いてよかったなぁと心の底から思えます。
あと整備の基本のキを少しでも学ぶためにこれを買いました。
- 作者: 太田潤
- 出版社/メーカー: 成美堂出版
- 発売日: 2015/03/13
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基本を知らないと応用(KTM)はできませんが「言うまでもない常識」はこの本を読むことでキャッチできると思っています。
愚者の他人の経験を生かしてください。それだけが僕の望みです。
ひぐらしのなく頃にチックですが、こんな感じ。