「なんてなんて読みやすいのだろう!!」
本を一切読まない僕ですら東野圭吾という人物の名前は知っていました。新刊が出るたびに話題になりドラマ化・映画化する有名な作家。
そして読んですぐに気付き感じたことが冒頭のセリフ。
恥ずかしながら最近読書に目覚めたので今までの人生で東野圭吾作品を読むのは初めてでした。初の東野圭吾作品の読書感想です。
『ラプラスの魔女』ってどんな作品?
「ラプラスの魔女」は2015年5月に発行されたサスペンス・ミステリ作品。著者は東野圭吾です。
東野圭吾の代表作品は以下
- 『秘密』(1998年)
- 『白夜行』(1999年)
- 『容疑者Xの献身』(2006年)
- 『流星の絆』(2008年)
- 『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(2012年)
- 『祈りの幕が下りる時』(2013年)
僕は友人からお勧めしてもらった本の一冊として東野圭吾の「ラプラスの魔女」を読んだ訳です。
『ラプラスの魔女』のあらすじ
「ラプラス、魔女、、ガンダム?」
この本のタイトルを見て最初に思ったことは冗談ではなくこれでした。ガンダムUCに登場するラプラスの箱、そして水星の魔女を思い出したのです。
そんな感想しかない自分が悲しくなりつつ、ラプラスの魔女のあらすじをば。
あらすじ
遠く離れた2つの温泉地で硫化水素による死亡事故が起きた。検証に赴いた地球化学研究者・青江は、双方の現場で謎の娘・円華を目撃する――。東野圭吾が小説の常識をくつがえして挑んだ、空想科学ミステリ!
ジャンルは空想科学ミステリ。ミステリ小説自体ほぼ読んだことがないので自分に読めるか心配でしたが杞憂。空想科学と書かれている通りのであまり肩肘張らずに読むことができます。
なんと、東野圭吾の著書100冊目『ラプラスの魔女』なんだそうです!
『ラプラスの魔女』は後からシリーズ化されたようで、全部で3作品。
- 『ラプラスの魔女』
- 『魔力の胎動』
- 『魔女と過ごした七日間』
作品ごとに完結しているのでまずは本作を読んでみましょう。
『ラプラスの魔女』を読んだ感想
まず最初に。この本、読みやすすぎる!!
読書という習慣が全くない僕にミステリとか楽しめるのか不安でしたが杞憂、というか本当に読みやすくてページをめくる手を止められなかったです。
夕方ごろから読み始め、結局止まらなくて一晩で読了してしまいました!
何がこんなに面白かったのか。
まだ言語化できる自信がないのですが思ったことを書いてみます。
登場人物が多いのに誰?とならなかった!
ミステリだと当たり前なのかもしれませんが、読み始めてすぐに登場人物が多いと感じました。
本作は群像劇なので主観が頻繁に切り替わります。そのため誰に感情移入しながら読めば良いのかも定まらない中色々な人がでてきて、話が進むと複雑に絡み合っていくような作り。
・・・正直僕はこの手の話は苦手。
ビジュアルありなゲームや映像作品ならまだしも、文字が唯一の伝達手段である小説では難易度高い。僕は名前を覚えるのが苦手なのです。。
でも、『ラプラスの魔女』はめちゃくちゃ読みやすく、頭名の中で混乱することがほぼなかったのです!
キャラクタのネーミングがよかったのか、キャラクターの登場させ方がよかったのか、ストーリーがよかったのか、僕には理由はわからなかったけどとにかく全キャラクタのイメージが頭の中で浮かび上がることができました。
キャラクターいずれにも親近感というか人間らしさがあった
登場人物は皆、一見意味不明な行動をしているのにも関わらず、話を読み進めると納得できる理由がありどのキャラクターも人間らしさがありました。
僕は割とこの辺りが気になるタイプでして、舞台装置的な友人キャラとか本当苦手。そういう意味で言うとこの作品のキャラクターは皆過去があり現在があり未来がある、生きている人間たちだと感じましたね。
それもあって事件に関係がある話はもちろん、過去空想シーンも非常に読みやすく徐々に作品の全貌がみえてそこに登場人物たちがどう絡んでくるのかがわかってくると面白いのです。
「意味のある群像劇」だった
群像劇でたまにあるのが「主人公Aが体験した話を主人公Bとしてもう一度別視点で同じイベントを験する」やつ。視点が変わることで「実はこんなことが!」みたいになるのは面白い。それは認めますが基本あれ苦手。結果は同じになるとわかっているシーンを何回も見たくないからです。
で、この作品は群像劇で主観がコロコロ変わるのですがそれが「読者が知りたい視点」になっているのです。
例えば何か事件が起きてそれを調査している警察官が主観で捜査を行い帰宅する。その後に現場にいた従業員目線で「実はこんなことが起きてた」みたいな情報が後からわかってくる。
この作品ではこの「別視点でどうなっていた」の切り替えタイミングや切り替え先の時間が完璧だと感じました。「そうそう、これを知りたかったんだよ」ということを変にもったいぶらずに知ることができるのでストレスなく読み進めることができます。
後半の主観が教授の青江だったのはやや不満だった
これは完全に個人の感想なのですが途中まで1主要キャラだと思っていた教授の青江が主人公顔になっていくのはやや納得がいかないというか、個人的には面白くない展開でした。
この教授の人間性や立ち位置がずっと好きではなかったこともあり、後半やや興醒めというか答え合わせフェーズが失速したなと感じました。
特に青江の「自分しか知らない円華の少ない情報」を武器にこの話の本筋に切り込んで行くあたりまでは理解できたのですが、やや偉そうなおっさんがその後も必死に女学生の円華を探し続けてたのはなんていうかキモい。しかも青江さん、家庭ではこっそりLEGOを作っては壊すのが趣味で家族の関係はあまり良好ではない様子もあり、感情移入しずらい人物でしたね。
途中まで奮闘していた、ギラギラしている刑事である中岡の方が人間臭くて熱意も一直線で好きでした。
もう一度読みたいかと聞かれるとNo
この作品を読んでいる間は続きが気になって寝ることができないほどハマったのです。
でも読み終わった後に「羅プラスの魔女ロス」はなかった。なかったのです。
この作品は良くも悪くもミステリで「この作品にはどんな秘密があってどうやって解決したのか」が一旦わかってしまうと読み返して浸りたくなるような感情は湧かなかった。これが一番の理由だと思います。
この前に読んだ、『図書館の魔女』のような「また最初から読んで旅を感じたい!」という感じではなく、「解決してスッキリ!」という感覚でした。
図書館の魔女については以下で書いてます
理系の人が書いた理屈がしっかりと書かれており納得感がある作品だった
調べたら東野圭吾は理系出身とのこと。確かに作中も「なんか不思議な現象」で終わらせるようなことはなくちゃんと理屈や現象として説明してくれる。
おかげで専門外でもすらすらと読むことができました。
他のミステリ作品をまだ読んだことがないのであれですが、こう言う読みやすくてはなしが面白く、お話が進めば進むほどワクワクする本ならもっともっと読みたい!そう思わせる魅力がありました。
これ、アニメ化・ドラマ化したら面白いやつでしょ!
この本を読んでいて映像化しても絶対面白いな。と思うタイミングが多数ありました。
本を読み終わってから調べると、もうすでに映画化されていることがわかりました。
まだ怖くて作品は未視聴なのですが、レビューを読む限りだと時間がなくて物語の意味がわからなかったという声が多かった。
本を読んだばかりの僕なら答えられる疑問も、映画だけで観てもわからないのは厳しいですね。。。
本はこれだけ面白くてエンタメと相性よさそうなのに、そんな簡単な話ではないのだなぁと改めて感じたのでした。
まとめ
東野圭吾の「ラプラスの魔女」を読みました。
初めての東野圭吾作品ということもあり本当に楽しめましたし、冒頭で書いた通りページを読む手が止められなかったです。
お話もよかったですがキャラクターの描写や構成など骨子の組み立てがうまく、人気の理由がわかりました。嬉しいことにまだまだ名作があるのでタイミングを見ながらまた別の作品を読むのが今から楽しみです。